
今回取材をするのは愛知県江南市の人気店「麺道ひとひら」。特に麺に強く拘っているお店で、多くのラーメンファンに支持されているお店だ。私自身も今回の取材で2年半ぶりに来たが、もう麺が別物になっていてその風味の強さ、食感にとても驚かされた。昼営業が終わってからゆっくり話を聞かせて頂いた。「麺道ひとひら」杉浦店長にKRK直撃インタビュー!
- ご出身は?
「愛知県の尾張旭市です。ここから1時間くらいの所です。」
- ラーメンは昔から好きだったんですか?
「昔からラーメンは好きでしたが、本とか雑誌とかでちゃんと情報収集して食べ始めたのが10年前くらいですね。」
- 何かきっかけがあったんですか?
「瀬戸市の麺座かたぶつさんで食べたのがきっかけでした。煮干しもガンッと嵌りましたし、なにより麺でしたね。『自家製麺、凄い!』となりました。それまではラーメンを好んで食べてはいたんですけどチェーン店とかだったので、個人店でしっかりされている自家製麺のお店で食べて、ラーメン凄いとなりました。『ラーメンって美味しいし面白い!』と興味が出てきて、東海3県をメインで色んな所へ食べに行くようになりました。」
- その頃は違う仕事をしていたんですか?
「20代前半の頃で、その時は焼き鳥屋さんで働いていました。ずっとラーメンを食べ歩いている内に自分で作ってみたいと思い始めました。今は動画とか専門書とかどこからでも勉強できるので、自分で作り始めて、焼き鳥屋さんで常連さんに出したりしていました。パスタマシーンとか小野式製麺機とかで麺を打って、スープやチャーシューを作って出していました。そこがスタートでしたね。」
- 最初から麺を購入せずに自家製麺なんですね。
「やっぱりラーメンに嵌ったきっかけが自家製麺だったので、製麺をやってみたいという気持ちが強かったです。」
- いつか自分でラーメン屋をやりたいという気持ちはありましたか?
「いずれはやりたいと思っていましたが、その頃は自分も若かったし、自分でやるとしてもノウハウも何も無かったので漠然とした感じでしたね。」
2019年10月10日オープン

- 今のお店をするまでの経緯は?
「焼き鳥屋さんで色々試して作っている内に今のお店のオーナーと出会ったんです。そのオーナーがラーメン店をやりたいと思っていて、ラーメンを志している人を探していたんです。それで共通の知り合いがいて紹介してもらい、『じゃあ一緒にやりましょう!』となりました。オーナーは全然飲食と関係ない福祉系とか建物管理とかの方なんですが、昔からラーメンが好きで、ラーメン屋をやってみたいと思っていたそうなんです。」
- 場所は色々探しましたか?
「色々物件を探していてここに決まった感じですね。」
- 屋号「麺道ひとひら」の由来は?
「ウチのオーナーや試食で食べてくれていた人達と相談して、僕の名前が一平(いっぺい)なので『音読みで"ひとひら"でいいじゃん』と言われて(笑)決まりました。麺は自家製麺ですることを決めていたので麺道と付けました。」
- 提供するラーメンは悩みましたか?
「最初は『こってりした濃いのがいい』とかオーナーのやりたいのがあったので、オーナーの言う通りにしていました。塩やまぜそばなども当初はしていましたが、僕1人のワンオペだったのでできないと気づいて色々変えていって、今のメニューに落ち着いた感じですね。」
- 全て自己流で?
「大和さんの製麺機を購入する時に製麺機の動かし方を学んだくらいで、他は全て自己流です。」
- 自分の色を出し始めた時期は?
「2年から3年目くらいでしたね。オーナーに僕のやりたいものに変えていきたいと伝えました。」
- 杉浦さんのやりたいものとは?
「麺にもっとフォーカスを当てていきたいし、清湯やつけ麺も出していきたいと思っていました。オーナーが濃厚寄りなんですが、僕はどっちかというと清湯寄りなんです。今でもオーダー率は濃厚系が多いんですけど、雑誌とかで賞をもらったりしているのは清湯系のが多いですね。」
- 杉浦さんの打つ麺について紹介をお願いします。
「つけ麺は2種とも京小麦を使用しています。濃厚系の麺は香りや歯触りを重視して、豚骨魚介系スープに負けないような、強い風味と味の濃さを意識しています。淡麗系の麺はしなやかなニュルとした感じになっています。京小麦の特徴なんですけど、香りの差し込み方も北海道産とは違うピュアな感じの麺。醤油や鶏油と相性良く、ニュルとしなやかな、飲めるような麺を意識しています。」
- 大事にしているポイントは?
「一番大事にしているのは食感ですね。麺というのは食感の食べ物だと思っています。濃厚系つけ麺の麺は全粒粉とか多く入れているので、濃厚系スープの中でも麺の方が目立つようなイメージにしています。香りとか食感とかもそうですし、啜った時の唇に当たる感じも大切にしています。その麺に合わせてスープを作っている感じです。」
- それを聞いていると両方とも食べてみたくなりますね(笑)
「さらに細かく言うと、濃厚系の麺には結構卵を入れていて、小麦のタンパク質とは別に動物系のタンパク質(卵)を入れることによって弾力や硬さに特徴を出しています。清湯系の麺は小麦粉・水・かん水・塩だけで、ピュアに小麦を味わってもらえるのが清湯系の麺です。」
- 追い求める麺はまだ見えていない?
「まだ、ずっと修行中だと思っています。」
- 最後に杉浦さんが一番大事にしていることを教えて下さい。
「お客様を大事にすることはもちろんですけど、とにかく食材を大事にすることを心掛けています。最終的に形にしてお客様へお出しするのはお店ですけど、色んな人の手が加わってウチへ届けてもらっています。そういった関係者の皆様へのリスペクトを忘れずに、食材をとにかく大事にして、その想いを届けて、それをお客様に喜んでもらえたらと思っています。」
◆店舗情報
麺道 ひとひら
愛知県江南市高屋町旭21
X https://x.com/hitohira_ramen
instagram https://www.instagram.com/mendo_hitohira
オープン日:2019年10月10日
(取材・文・写真 KRK 令和7年3月5日)