今回取材をするのは京都市の「らぁ麺や ふぢとら」。店主は京都の名店「らぁ麺 とうひち」から初めての独立者で、2023年9月に京都太秦で独立開業。京都ラーメンシーンに久しぶりに現れた注目の新店だ!早速、取材する時間を作って頂いたのでいろいろ聞いてみようと思う。「らぁ麺や ふぢとら」渕原店主にKRK直撃インタビュー!
- 生まれ育ったのは?
「大阪の泉州の岬町です。もう隣が和歌山という所です。」
- 元々、ラーメンを食べるのが好きだったんですか?
「和歌山が近かったので、お爺ちゃんに車で和歌山へ連れて行ってもらって和歌山でラーメンを食べるのが大好きでしたね。本格的にラーメンに嵌ったきっかけは、大学(立命館大学の映像学部)で京都に来てからでした。先輩に『流行っているラーメン屋があるから』と連れて行ってもらったのが"とうひち"(らぁ麺とうひち)でした。ああいう生揚げ醤油と地鶏の清湯を食べたことがなかったので衝撃でした。それでラーメンって面白いなと思って、全国のラーメン屋を廻るようになりました。」
- ラーメン屋をやりたいという気持ちは?
「映像学部で映像を学んでいたんですけど、ラーメンも好きだったので気持ちが揺らいできていたんです。それでちょうどバイト募集が出ていたので、とうひちでアルバイトをしてみようと思いました。面接の時に大将(袖岡店主)にそういう想いも伝えて雇ってもらいました。」
- 「そういう想い」とは?
「せっかく大学に通わせてもらっているのでそういう道へ行かないといけないのかなと思いつつ、それを凌ぐ位にラーメンが好きなので悩んでいることでした。」
- その時にとうひちを選んだのは?
「好きな店は幾つかありましたが、限定とか色々していてとうひちが一番ラーメン屋って感じでしたし、大将の人柄にも惹かれました。実際にとうひちで働いてみてラーメン屋が更に好きになったので、そのままとうひちに就職することに決めました。」
- 当時から独立志望はあったんですか?
「はい。面接の時に4年ほど修行させてもらって独立したいと伝えていました。」
- 初めての飲食の仕事、どうでしたか?
「こんなにキツいんだと驚きましたね。でもそのキツさを全然耐えられるくらい、毎日が楽しかったです。一年目はすぐる(当時あったとうひち二号店)に入っていて、その後、本店で4年ほどお世話になりました。」
- 独立のタイミングは?
「自分から独立希望の約一年前に伝えて、2023年4月に退社しました。」
- 自店でやりたいラーメンは既に決めていたんですか?
「はい。絶対に清湯ですると決めていました。」
2023年9月23日オープン
- 京都ですると決めていたんですか?
「地元(大阪)へ帰るのか、京都に残るのかずっと悩んでいました。地元に戻って生揚げ醤油と地鶏のラーメンを広げていくことも考えましたが、京都で本当に多くの方からお世話になってきたので、皆さんに恩返しをしたいという気持ちが強かったですし、京都で生きていきたいという気持ちもありました。それでとうひちとずっと比べられるのは承知の上で、京都でやろうと決断しました。」
- 太秦(うずまさ)を選んだのは?
「僕の理想は、町に溶け込んだラーメン屋さん、町の人に自慢されるようなラーメン屋さんになりたいということなんです。だから、あまり街中過ぎない所でずっと探していて、出会ったのがこの場所でした。」
- 屋号「らぁ麺や ふぢとら」の由来は?
「らぁ麺やの"や"の部分は漢字と悩みましたが、柔らかい感じにしたかったので平仮名にしました。ふぢとらの"ふぢ"は、僕の苗字 "渕原"のふちと、とうひち(藤七)の藤を掛けて"ふぢ"、そして"とら"は縁起物みたいな感じで付けました。」
- 木のカウンターや柔らかい照明、とても落ち着く店内ですね。
「老若男女、全てのお客様に美味しく食べてもらえるお店にしたいと思いました。堅苦しい雰囲気じゃなく、温かい雰囲気のラーメン屋にしたいと思い、木の温もりとか照明に拘って店作りをしました。」
- 商品について紹介して下さい。
「スープは僕自身が足を運んで決めた鹿児島の黒さつま鶏をメインに、豚の独特の甘味と旨味をきっちり引き出して合わせています。醤油は僕と同世代の方が生揚げに拘って作っている醤油を使いたいと思って、和歌山・有田のカネイワ醤油さんや滋賀の醤油屋さんの醤油を使わせてもらっています。チャーシューは黒豚の血が混じった鹿児島の桜島美湯豚です。」
- 麺からかなり拘りが強く伝わってきますね。
「麺で衝撃受けたのが札幌のQさん(当サイト記事)でした。自分もちゃんと麺を打ちたいと思い、麺にはかなり拘っています。一番最初に口に入れた時の食感、そこの違いですね。そこでお客様に衝撃を与えられるかどうか、どう印象を与えられるかを考えながら取り組んでいます。」
- とうひちから初の独立者となりますね。
「大将に恥をかかせないようにという気持ちは常にあります。大将はあんまり熱い言葉とか言う方ではありませんが、『ちゃんとお客様と向き合いや』といつも教わっていました。そして独立する際は『自信を持ってやりや』と背中を押して頂きました。」
- お店として、イベントなどへの参加は?
「色々したい気持ちはありますが、今は1人なのでまだ時間が無いですね。将来的には知名度を上げて、多くの人を太秦へ呼び込めるようなお店になりたいです。町おこしじゃないですが、町を盛り上げる一つの歯車になりたいと思っています。」
- 一番大事にしていることを教えて下さい。
「当たり前に粛々と真面目にラーメンを作っていくことです。しっかりお客様を見て、一対一でお客様へラーメンを作っていきたいと思っています。」
◆店舗情報
らぁ麺や ふぢとら
京都府京都市右京区太秦安井辻之内町15-7
instagram:https://www.instagram.com/fujitora_uzumasa/
オープン日:2023年9月23日
(取材・文・写真 KRK 令和5年11月14日)