Vol.298：麺房 鶏くらふと

2023年8月4日オープン！

　久しぶりにワクワクする新店が大阪府豊中市で8月4日にオープンする。屋号は「麺房鶏くらふと」。店主は縁乃助商店やハレノチ晴など多くの人気店を持つ「縁joy Family Japan」グループ出身。縁乃助商店などの店長経験、系列の新店立ち上げ、コラボ営業や屋外イベント参加など、ラーメン業界で積んできたキャリアで考えると正にサラブレッド。これほど「満を持して」という言葉が似合う人もいないだろう。北林店主自身については以前に取材しているので、今回は独立のきっかけ、新店についてなどを中心に聞いてみようと思う。「麺房鶏くらふと」北林店主にKRK直撃インタビュー！

◆北林店主過去記事

2018年3月取材

- 北林さん自身については約5年前の取材でお聞きしましたので、今回は新店について色々聞かせて頂きます。今回の独立はいつ頃から考えていたんですか？

「前の会社（縁joy Family Japan）からの独立はコロナまで全く考えていなかったんです。コロナ禍で飲食店の流れが変わってしまって、会社も厳しくなっていきました。その時に2人目の子供が産まれたんです。2月に子供が産まれて、4月から一気にコロナ禍が来て休業とか色々問題が出てきました。」

- あっという間に世界が変わってしまいましたからね。

「せっかく大学行って教員免許をとったのに飲食店へ就職した自分に何も言わず好きなことをさせてくれていた親に対してもですし、これまで忙しくて家族との時間をあまり作れなかったこともです。もしコロナ禍で会社が倒産となった時に、自分に何も残っていませんでしたでは話にならないなと思いました。

　6年ほど勤めていた会社に対しても、僕にまだ独立をできる力も無いまま倒産したら、社長に僕が重荷になってしまうかもしれないと思いました。」

- それで自分の道を模索し始めたわけですね。

「コロナ禍で会社が傾いたタイミングで、創業計画書や自分が作りたいラーメンはどんなのかなとか、ある程度の形を作っておこうと動いていました。」

- この時代にグループを離れて1人ですることへの不安は？

「開業への不安材料は『人を揃えられるか？』くらいでした。味作りやオペレーション、新規の立ち上げに関しては前の会社でたくさん経験させてもらっていましたので、そこへのプレッシャーとかは感じませんでした。オープン日までにスタッフを揃えられるかが不安でしたね。」

- オープン日を決めて動いていたんですね。

「2023年の最強の日、8月4日（天赦日、一粒万倍日に加え、大安までもが重なる日）にオープンしたいなと年明けくらいに決めていました。元々は来年3月を予定していたんですが、3人目の子供が産まれたのでちょっと早めようと動いていました。」

- 自店の場所は色々探したんですか？

「自分が住んでいるのが北摂なので、北摂エリアでしようと決めていて、池田、豊中、箕面辺りで探していました。この場所は見に来た時にちょっと大きいなと思ったんですが、大きい窓が欲しいと希望していましたし、厨房の規模を考えたらいいかなと思いました。」

- 屋号「麺房鶏くらふと」の由来は？

「3年前には屋号を決めていました。"くらふと"は『自分で創作して作っていく』みたいな意味。平仮名にしたのは字体が可愛いからです。ウチの店舗の理念は『創造したものを形にする』です。考えたものを商品としてお客様へ表現していくという意味です。『麺を扱う工房』という感じで麺房にしました。」

- どの商品で勝負するか迷いましたか？

「ギリギリまで何を推しでするか悩んでいました。麺もスープも差別化が難しくなってきている時代、（長くこの業界に携わってきて）僕のイメージは白湯が強いなと思いました。最初は清湯でしようかと考えていたんですが、製作していく段階で自分が作る白湯の方が清湯より美味しいと思いました。それで推しメニューは白湯で、数量限定で昆布水つけ麺と鶏清湯にしました。」

- 商品の説明をお願いします。

「野菜を入れずに鶏オンリーでとったスープで、醤油と塩があります。麺は"春よ恋"を中心に、焔神で茹で伸びしにくくしています。春よ恋はどうしても白くなってしまいがちなので、色出しの全粒粉、粗い全粒粉も入れています。つけ麺、清湯、白湯といろんな変化を出しやすいようにグルテンも入れて、茹で時間を変えるだけで表現しやすい幅のある麺にしています。」

- オープン時はその三本で？

「はい。白湯の醤油と塩、つけ麺醤油と塩、清湯の醤油と塩です。落ち着いてきたら、担々麺、まぜそば、わんたん麺と出していこうかと予定しています。」

- 新しいチャレンジは？

「毎日、開店時間に合わせて焼き上がる塩釜チャーシューというのを出します。チャーシューは他にも燻製など種類も多く、いろんな部位を使ってラーメンに合わせていこうと思っています。」

- 新しいスタートで、これから大事にしていきたいことを教えて下さい。

「飲食業界は長時間の労働時間がネックになっています。飲食店へ新卒から入ろうとか、転職していこうとかの人気が下がってきてしまっています。他の業界の労働時間が色々改革されてきている中で、飲食店もきっちりしていかないといけないと思っています。僕は家に12時間は必ず居ると決めていて、それに合わせて営業時間を調整しています。独立して色んなことにチャレンジできる環境になったと思うんですけど、家族との時間は減らさないと決めて、その時間の中でやっていこうと思っています。この席数、提供時間など計算して実現へ向けて動いています。」