今回取材するのは、名古屋市の人気店「らぁ麺や 汐そば雫」。2013年にオープンし、名古屋ラーメンシーンを長く牽引してきた実力店だ。流行に追従せず我が道を行くという姿勢がとても好印象で、店主はどんな方なんだろうとずっと気になっていたので今回取材する時間を作っていただいた。「らぁ麺や 汐そば雫」各務店主にKRK直撃インタビュー!
- ご出身は?
「名古屋市です。」
- 元々、ラーメンは好きだったんですか?
「そうですね。食べることや料理することが好きでした。学生の時から車やバイクが好きで、ドライブした後の目的地としてラーメン屋を選んだりしていました。」
- 当時の仕事は?
「グラフィックデザインの仕事をしていて、週末は音楽イベントで料理を出したりしていました。」
- 当時はどんなラーメンが好きだったんですか?
「これが僕の食べ歩きのバイブルとして使っていた当時のラーメン本(画像参照)なんですが、その頃の名古屋は豚骨の店が多かったんです。名古屋と言ったらスガキヤなので、馴染みがある味は豚骨魚介でした。」
- 当時の名古屋で淡麗のお店は?
「僕もまだ若かったので豚骨や台湾ラーメンを食べることが多かったんですが、如水さんや萱場の頃の三吉さんを食べて『こういうラーメンもあるんだ!』と淡麗塩ラーメンとの出会いでした。」
- 自作ラーメンもしていたんですか?
「元々、料理が好きだったので、自宅でラーメンも作れないかなと、とにかく骨を煮るとか、そういう所から始めていました。最初は血が苦手で、友達を呼んでゲンコツを割ってもらったり(笑)その頃、分かっていたのは、タレ、スープ、アブラ、麺。この四つをバランスよく組み合わせるのが大事だということぐらい。当時はインターネットもまだ情報が少なかったので、タレは漫画『美味しんぼ』などを参考にしこともありました(笑)豚骨を煮て、香味油をとりあえずサラダ油、ニンニク、長ネギとかで作って、チャーシューは煮豚。麺はスーパーで購入した麺でした。」
- 飲食店をやると決心したきっかけは?
「グラフィックデザイナーとして独立して個人で始めました。家でパソコン作業をしながら、横でスープを煮るという毎日でした。ある日、バイクで事故に遭ってしまい、しばらく仕事ができなくなってしまいました。丁度デザイン媒体が紙からWEBに変わってきたこともあって、その時に考えたんです。長い目で見たら、美味しい食べ物を出し続ける仕事の方が、将来性もあるし楽しいだろうなと。」
- 料理の道へ進みたいと決めてからは?
「色々と道筋を探っている時にラーメン学校の体験教室があって、そこでラーメン店オーナーとの出会いがあり『店の厨房を使ってラーメン作ってみる?』と言って下さったんです。その出会いが無かったらラーメン屋になっていなかったかもしれないので、今思えば分岐点でした。」
- そこでラーメン屋に決めたんですね?
「実店舗の厨房に入らせてもらって、材料や基本的な作り方を知りました。面白くて仕方なかったですね。ラーメン作りにのめり込んでしまって、家庭用コンロでは火力が足らなかったので、すぐにプロパンガスや五徳、寸胴も大きいのを買ってきて、晴れていたら家の庭に設置してスープ炊きの練習をガンガンしていました。」
- 自店で出すラーメンはその頃に決めていたんですか?
「淡麗系だろうなとは何となく自分の中で決まっていました。如水さん、三吉さんのようなラーメンを作りたいという思いがあって、淡麗の出汁を特に頑張って作っていました。」
◆間借り営業時代
- オープンまでは順調に?
「素材の味を知るために何でも出汁を取ってみて最適な組み合わせを試すなど、とにかく自主練を繰り返す日々でした。そして美味しいものができるようになってきた頃に武者修行を始めました。夜バーの店があって、平日の昼間だけラーメン屋をやらせてもらっていました。その時の間借り営業時から屋号を『汐蕎麦 雫』として営業していました。蕎麦は漢字でした。」
- 屋号「汐蕎麦 雫」の由来は?
「和風にしたいと思っていて、魚介を使う塩で行くつもりだったので和風で魚介を感じさせる名前がいいと思い、汐蕎麦が浮かびました。雫は出汁を取った時の滴り落ちるような雰囲気が伝わってほしいと思いました。」
2013年7月31日オープン
- そして遂に自店へ動くんですね。
「仕事をしながら物件を探し始めました。店が決まると、設計士の友達と一緒にDIYで作ったのでその分時間はかかりましたが、自分好みの店作りができました。2013年7月31日にオープンしました。」
- オープン時のメニューは?
「今と同じで、汐そば、醤そば、まぜそばの三本でした。」
- 商品の紹介をお願いします。
「できる限り無添加、国産材料に拘っています。自分の子どもにも食べさせたいラーメンがモットーです。極端な油分、塩分、化学調味料など無くても美味しく食べられるラーメンをずっと目指しています。」
- 屋号に「汐そば」は重荷になっていませんか?
「重荷にはなっていないです。塩はずっとやっていくものだと思っていますし、他のも手を抜くわけでもないですからね。汐そばが一番食べてもらいたいものなので、それで大丈夫です。」
- 各務店主の一番大事にしていることは?
「大事に作ったラーメンなので麺もスープも全部食べてほしい気持ちはありますが、それは健康面で難しいのは分かります。なので塩分を控え天然素材に拘った安心して食べてもらえるラーメン作りを心がけています。常に改良は試みているのですが、自分の成長の先にラーメンの成長があると思っていますので、温かく見守っていただけると嬉しいです。」
◆店舗情報
らぁ麺や 汐そば雫
愛知県名古屋市瑞穂区下坂町4-15 スターリア1F
twitter:https://twitter.com/40_shizuq
オープン日:2013年7月31日
(取材・文・写真 KRK 令和5年3月26日)