今回取材するのは「貝出汁ラーめん クラム」。多くの実力店が集まっている激戦区「各務原市」へ移転してきたばかりのお店だ。先日初めて食べに来て、開店前の行列に驚いたものだ。移転の経緯、屋号に貝出汁を付けるほど貝に拘っている理由、そして「ラーめん」表記の理由などいろいろ聞いてみようと思う。「貝出汁ラーめん クラム」中田店主にKRK直撃インタビュー!
- ご出身は?
「岐阜県の郡上市です。」
- ラーメンを好きになったのは?
「20歳の頃でしたね。当時していた仕事でいろんな所へ行く機会があって、手頃に食べられるラーメンを昼ご飯に選んでいて何軒か行く内に、『ラーメンってうまいな』と思い始めて(笑)。ただ手頃に食べられる食事としてラーメンを選択していたのが、ラーメンに凄く興味を持つようになって、それからは出張でどこかへ行く時は事前に調べて『このラーメンを食べよう!』と決めて行っていましたね。」
- ラーメンを作る側になったきっかけは?
「仕事の関係で関東へよく行っていたんですけど、東京のラーメンを初めて食べた時は『やっぱり東京はすごいな』と思いましたね(笑)。それからは関東のラーメン屋へ行きまくっていました。大阪に行く仕事はあまり無かったので、大阪には休みの日に食べに行っていましたね。そうして食べている内に自分でも作りたくなって、自宅に厨房を作ったんです。」
- えっ?自宅に厨房をですか??
「はい(笑)。大きい寸胴鍋を買って、マニアックな雑誌とか見ながら拳骨とか仕入れたりして作っていました。飲食経験が無くて何も分からなかったので、とにかく最初から大量に作って友達とかに食べてもらったりしてました。そして残ったのを冷凍して、また戻してから追って鰹を入れてみたりとか。今になって思うと当時の自分としてはそんなに大した物を作っていたわけではなかったのですが、『あっ!店に食べに行かなくても自分で作って食べれるぞ』ってほど自分好みのものが作れていたと思います。」
- 自作していたラーメンはどんな系統?
「自分が好きだった濃厚な豚骨魚介とか、それを魚介スープで割ったライトな感じのラーメンとか作ったりしていました。当時は六厘舎さん、とみ田さん、一燈さんが凄い人気だったので真似て作っていました。」
- その時には自分の店を考えていましたか?
「全く考えていませんでした。その頃にしていた仕事も調子良くいっていましたので、ラーメン屋というのはまだ頭に無かったです。」
- ラーメン屋をするきっかけは?
「その後も仕事をしながら、趣味でずっと自作を続けていました。ある時、ラーメン作りをしていることを知っていた某ラーメン店主から『良い物件が空いたで?ラーメン屋をやったら?』と声をかけてもらったんです。飲食業の経験が無かったので色々と不安はありましたが、自分が好きなことを仕事にできる!やってみるか!と思ったのが始まりです。それから開業のノウハウやオペレーションなど学ばせてもらいました。」
- 声がかかった時、だいぶ悩みましたか?
「悩みましたが、性格的に、やってみよう!と思ってからは開業まで早かったです(笑)。声をかけてもらったのが9月で、当時の仕事を12月に辞めて翌年2月に開業しました。」
- 最初の店の屋号は?
「『麺処あさひ』という屋号で、7年ほど可児市で営業していました。」
- 最初の店の商品は?
「油少なめの食べやすい豚骨魚介。ラーメンも自作していたような魚介スープで割ったライトなラーメンを提供していました。開業当時は自分が作りたいものというよりは、売れるラーメンはどんなだろうと考えて作っていました。」
- 最初の店はどうでしたか?
「大通り沿いにあって駐車場もあり、朝から晩まで人通りが多い場所だったので、ありがたいことにお客さんが来ないってことはほぼ無かったですね。」
- 成功していたそのお店から離れた理由は?
「当時一緒に働いてくれていた従業員が店を離れることになり、思い切って『閉店』という選択をしました。閉店してからもまたありがたいことに声をかけて頂いたんですが、もっと自分のやれることがあるのではないかという思いもあったのでその意思を伝えました。」
- 自分のやれることとは?
「麺処あさひをやり始めてからも時間がある時は必ずと言っていいほどラーメンを食べ歩いていたんですが、ある時から『自分しか作れないラーメンでお店をしたいな!』と考え始めました。麺処あさひの途中辺りから清湯がとても好きになっていたので、限定で時々提供していたんです。もしまた店ができるのなら清湯で勝負したいなと思いました。」
- やりたいラーメンが決まってからは?
「これまたありがたいことに仲良くして頂いていた居酒屋のオーナーに『昼間ならお店を使っていいよ!』と声をかけてもらえたので、間借りというスタイルで始めることにしました。」
- 間借りの時の屋号は?
「貝出汁ラーめんクラムです。」
- 平仮名とカタカナをミックスさせた「ラーめん」表記にした理由は?
「ちょっと気にしてもらえたらいいなと思い、この表記にしました。自分にしかできないラーメンを出したいと思っていたので、屋号にもその気持ちを込めています。」
- クラムは?
「二枚貝という意味です。」
- 間借り時の商品は?
「現在の店舗とほぼ一緒のメニュー構成でした。」
- 間借りはどのくらいの期間?
「一年半ほどやらさせてもらいました。オープン当初は苦戦しましたが、徐々にお客様が増えて凄く手応えを感じることができました。」
2022年8月22日オープン
- 店舗化への経緯は?
「間借り営業を続けるのも居酒屋さんのご迷惑となってはいけないので広範囲で物件を探していた中で、ご縁があり現在の物件のお話しをいただくことができました。駐車場が周辺に沢山あるし、駅も近くにありますから即決でした(笑)。」
- 基本は間借りの時と同じ商品で?
「自分の好きな煮干しメインでとも考えたんですが、可児市も近いので間借り営業の時に来ていただいていたお客様にもまた食べてもらいたいという気持ちも強くあったのでほぼ同じ商品で始めました。素材の分量やスープを炊く時間を変えたりしてブラッシュアップしていっています。」
- 商品の紹介をお願いします。
「塩が一番の推しで、スープは鶏・魚介・貝類のトリプルスープです。どの世代のお客様にも楽しんでもらえるように、貝ばかりが突出しているわけでなく、バランスを整えた食べやすい商品作りを心掛けています。」
- 将来的には自家製麺も?
「前は間借りだったのでできなかったんですが、自家製麺ももうすぐ始める予定です。なるべく全部自分で作って、お客様に安心できるものを提供したいという気持ちがあります。」
- 中田店主が一番大事にしていることは?
「幅広い層のお客様に美味しい!と思ってもらえるような一杯を作ることですね。自分が食べ歩きを始めた頃より断然多くのラーメン店ができているので、自分にしかできないことをやって何か一つでも印象に残って欲しい。また来たい!と思っていただけるようなお店作りを今後もしていきたいですね。」
◆店舗情報
貝出汁ラーめん クラム
岐阜県各務原市那加門前町3-39 シャトウ88 1F
twitter:https://twitter.com/clam_ramen
instagram:https://www.instagram.com/ramen_clam/
オープン日:2022年8月22日
(取材・文・写真 KRK 令和5年1月13日)