今回取材するのは「魔界系ラーメン三冠馬」。京都市内で2022年9月1日にオープンしたばかりの新店だ。競馬がコンセプトのお店で、魔界系?一体どんなラーメンかと食べに行ってみると、販売している商品は正に衝撃の一杯!とても強く印象に残ったお店だったので取材する時間を作って頂いた。「魔界系ラーメン 三冠馬」苗田(のだ)店主にKRK直撃インタビュー!
- ご出身は?
「京都で生まれて、高校生まで京都にいました。それから大学で東京へ行きました。」
- 昔からラーメンは好きだったんですか?
「昔からラーメンが好きで、僕の記憶に残っている最古の店は一乗寺の龍昇さんと、出町柳の駅近くにあったラーメン専科いちばんさんです。小学校の時に両親に連れていってもらってメチャクチャ美味しかったのを憶えています。それから本格的にラーメンに嵌ったのは洛星中学へ入ってからですね。同級生にラーメン好きな人が多かったので、学校が早く終わる土曜日とかは友達と一条寺とかへラーメンを食べに行っていました。その時はまだ裏通りにあった頃の高安さん、東龍さん、杉千代さんへ頻繁に通っていました。当時の情報源は友達からの口コミとラーメン本でしたね。」
- 大学で東京へ行ってからは?
「東京に行って更にラーメンに嵌りました。慶應義塾大学に行っていて日吉キャンパスだったんですが、僕の下宿先の近くに武蔵家 日吉店さんがちょうどオープンした頃だったんです。まだ京都に家系は無い時代だったので、初めて家系を食べてメチャクチャ美味しくて驚きました!テレビで観たお店、くじら軒さんとかにも時々行っていましたが、当時は家系と二郎しか食べていなかったというくらい嵌っていました。一年生の1発目の試験の時にご飯を作るのが面倒だったので、試験中に1週間の3食、21食を連続で武蔵家さんで食べたことがあって、完全にお店の人に顔を覚えられましたね(笑)」
- ラーメン屋をしたくなったのは?
「一番最初に思ったのは武蔵家さんへ通っていた大学生の時でした。京都でいろんな店を見てきて、武蔵家さんもずっと見ていて、『ラーメン屋さんっていろんなやり方があるのに失敗の仕方がある程度似ているし、作り手によって味が変わるのも何とか解決できるはず。こういう工夫をしたらもっとお客さんが来るんじゃないかな?』とか生意気なことを考えていました。」
- 大学卒業してからは?
「京都へ2012年頃に戻ってきて就職しました。ラーメン屋は難易度が高い、失敗する可能性が高いというイメージがあったので、自分でやることは無理と思っていました。」
- 次のターニングポイントは?
「2020年の12月に畠山さん(魔界ラーメン月光 店主)と出会ったことですね。お互いの共通の知り合いに福永さんという社長さんがいて、僕と福永さんは筋トレ繋がりで知り合いだったんです。福永さんは後に僕の修行先になる『天をも穿つ-THREE KINGDOMS-』(福岡県糸島市)を開店した方です。」
- 話が急展開(笑)。筋トレ仲間を通して仙台のラーメン屋さんと知り合ったということですね?
「はい。福永さんに『面白いラーメン屋さんがいる』と紹介してもらったのが、仙台で『魔界ラーメン月光』をしていた畠山さんだったんです。その時には福永さんが畠山さんからのレシピで『天をも穿つ-THREE KINGDOMS-』を福岡で開業するタイミングでした。」
- 2人と知り合ってから、苗田さんの気持ちは?
「畠山さんや福永さんの話を聞いている内に自分でもできるんじゃないかと考え始めました。そして畠山さんはSNS(魔界ラーメン月光)を見ていても分かるようにかなり変わった人なんです。屋号が魔界ラーメン月光や暗黒中華そば雷電とかだし(笑)。でも営業報告をするだけではなく、おもしろおかしく好きに発信するSNSの使い方をしていて、他のラーメン屋さんの広告宣伝戦略とは違うやり方。『めっちゃ面白いなー』と思いました。」
- 魔界ラーメン月光に興味を持ってからは?
「当時は仕事で東京に住んでいたので、仙台の魔界ラーメン月光さんへ新幹線で食べに行きました。とても美味しくて驚きました。その1ヶ月後に体を壊して仕事をできなくなって京都へ帰ってくることになったんです。その時にサラリーマンは向いてないと思い始めて、ある程度体調が良くなってきた頃に『今暇だし、修行しに行ってみようかな?』とフッと思ったんです。それで福永さんに相談してみました。」
- ラーメン屋をしてみようと思ったんですね。
「はい。自分でラーメン屋をやれるように、みっちり修行をさせてくださいとお願いしました。実際に食べに行って美味しかったし、京都に無いラーメンだったので、京都で出店しようと決めました。ほとんどのラーメン屋さんは看板のラーメンが一種類ですが、ここのラーメン屋さんなら3種類あって、それなら失敗の可能性も下げられるんじゃないかなと思いました。」
- 修行はどうでしたか?
「大学時代にアルバイトの経験はありましたが、作るのは初めてでした。もう思っていた以上に大変でしたね。」
2022年9月1日オープン
- 場所は悩みましたか?
「コロナの時期でしたがなかなか物件が見つからなくて大変でした。大学の近くに出したいと探していました。ここは中華料理店さんだったんですが照明が暗かったので、沢山の照明を付けて明るくしました。」
- 屋号「魔界系ラーメン三冠馬」の由来は?
「修行先で3種類のラーメンがあって、福永さんが三国志を好きで豚王、鶏王、まぜ王としていたんです。その発想が面白いと思っていたので、僕の好きなことで3と関連していることを考えました。それで競馬が好きだったから三冠馬。僕の好きな三冠馬でオルフェーヴルという金色の馬がいるんです。鶏が金じゃないけど黄色でいけると思って『黄金の鶏』。それで競馬コンセプトで、実際にいた三冠馬をモチーフに考えていこうと思いました。」
- ということは他のメニュー名も三冠馬から?
「魔界ラーメン月光さんでブタカツオラーメン(衝撃の豚の元となるラーメン)を食べた時に衝撃(インパクト)を受けたので、三冠馬のディープインパクトを使えると思い『衝撃の豚』。油そばが大変でしたね(笑)。黄金、衝撃と決まったので漢字2文字で考えていると、『シンボリルドルフは皇帝だったなー』と思い出して、麺の量も増やせるし、それで皇帝感とかで無理やり『皇帝の油そば』としました(笑)」
- 趣味爆発ですね(笑)
「当初は魔界系じゃなくて、ラーメン三冠馬でする予定だったんです。畠山さんと出会ったからこそラーメン屋をできることになったので『名前の一部を使わせてください』とお願いして魔界を使う許可をもらいました。そのままもらうだけじゃ面白くないので、家系や二郎系のように系統つけようと思って魔界系ラーメンとしました。」
- 商品の紹介をお願いします。
「『衝撃の豚』は濃厚豚骨魚介ラーメンで、魚介と豚の味がしっかり感じられる一杯です。ドロっとしていますがそこまでしつこくなくさっぱりした後口に仕上げています。『黄金の鶏』は鶏と水だけで作っている、鶏の味がしっかり味わえるあっさりしたラーメンです。『皇帝の油そば』はがっつり食べてもらいたいジャンク系のラーメンで、味変のアイテムも多数用意しています。麺は麺屋棣鄂さんの麺を使っています。」
- 苗田さんが大事にしていることは?
「畠山さんから『とにかく店を開け続けろ。店がそこにあり続けることが一番の広告宣伝だ』と教わりました。閉店せずに、味も変わることなく、とにかく同じ場所でずっと営業していくことが大事。そのために日々の営業と仕込みを大事にしないといけないと思って取り組んでいます。」
◆店舗情報
魔界系ラーメン 三冠馬
京都府京都市右京区西院月双町3 アビジット1F
twitter:https://twitter.com/ramen3kamba
instagram:https://www.instagram.com/ramen3kamba/
オープン日:2022年9月1日
(取材・文・写真 KRK 令和4年12月26日)