Vol.265:麺処 天川


 今回取材するのは大阪市西区にある「麺処 天川(あまかわ)」。"丹波黒どり"や"アグー豚"から出汁をとる本格派の醤油ラーメンが看板のお店で、2019年3月にオープンしてから着実にファンを増やしている人気店だ。屋号の由来も興味あるし、アグー豚を使用しているお店もまだまだ少ないので、きっかけなど聞いてみたいことが色々ある。「麺処 天川」岡部店主にKRK直撃インタビュー!


- ご出身は?

「お店があるココ、大阪市西区が地元です。」

 

- ラーメン屋をしたくなったきっかけは?

「高校から大学までずっと天下第一というラーメン屋系列の"五味八珍"というお店でアルバイトとして働いていました。そのお店の店長の人柄やラーメンがとても好きで、その時に自分も『将来ラーメン屋をしたいな』と何となくですが思い始めました。」

 

- ラーメン屋に興味を持ってからは?

「とんかつ・うどん・ラーメンの三業態している会社のラーメン部門で働いたり、鰹節屋の会社でもお世話になっていました。」

 

- 鰹節屋もラーメン屋開業のため?

「はい。それまで色んなラーメン屋で働いていたので動物系スープの知識はあったんですが、乾物系の知識が足りないと思い、乾物屋に入って魚介出汁の勉強をしようと思いました。」


2019年3月5日オープン


- 地元でしようと決めていたんですか?

「はい。地元に恩返しじゃないですけど、地元の経済とかに貢献したいと思っていました。重飲食できる物件が少なくて、なかなか見つからなかったですね。」

 

- 屋号「麺処 天川(あまかわ)」の由来は?

「もしラーメン屋をするならこの屋号にしようとずっと前から決めていました。天川(あまかわ)というのが母方の旧姓なんです。名前が気に入ったというわけではなくて、母方は女系家族で男の子ができなくて、孫で僕が初めて産まれた男の子で、お爺ちゃんにとても可愛がってもらっていたんです。お爺ちゃんは僕が高校に入る前くらいに亡くなったんですが、もっと何かしてあげたかったので、自分がもしラーメン屋になったら恩返しじゃないけど、その名前を使ってしたいなと思っていました。

 あとは父親と僕が昔からキャンプが好きで、奈良の天川村に昔からよく行っていたんです。なんか天川に縁があったんですよね。」



- 醤油ラーメンで勝負すると決めていたんですか?

「そうですね。自分は醤油の清湯でしたいとずっと思っていました。ラーメンも流行り廃りがありますが、醤油ラーメンというのはずっと基軸になっているラーメン。細く長くずっとラーメン屋をしていきたいと思っていますし、自分も醤油ラーメンが好きなんです。」

 

- "丹波黒どり"や"アグー豚"を使うようになった経緯は?

「僕が昔から丹波篠山の食べ物、枝豆とかがとても好きだったんです。その中から"丹波黒どり"という鶏に出会って使いたいと思いました。そしてアグー豚は僕が今までに食べてきた豚の中で一番美味しかったんです。高いのは分かっていたんですが、自分で沖縄に電話しながら色々探して、なんとか使えることになりました。基本的に全部自分で調べて、電話して取引させてもらっています。」

 

- 麺処 天川で拘っていることは?

「水とお米です。ラーメン屋はラーメン屋なんですけど、『ラーメン屋である前に飲食店であれ』というのを自分の中で決めています。もちろんラーメンは美味しくて当たり前。飲食業という中でのラーメン屋なので、僕は水とお米は絶対に変なものを出したらダメだと思っています。水はアメリカのシーガルフォー浄水器を使っています。薬品とか一切使わず、フィルターだけで細菌とかほとんど除去してくれて、一切余分なものが入っていない水になります。その水に鶏とか豚の旨味を移していくようにしています。」

 

- 拘りのお米とは?

「自分も外食に行って白ごはんが美味しかったら『ご飯が美味しい店はやっぱりいいなー』と思うんです。それで妹の旦那さんの実家が兵庫県の朝来市にあり、その繋がりから朝来市の農家さんから"但馬のコシヒカリ"というお米を使わせてもらえることになりました。」

 

- そのお米を使った商品も人気なんですね。

「ウチは旬炊込飯というのをしています。普通は炊込みご飯というのは一種類なんですけど、ウチは季節ごととかに旬の食材を使って作っているので、来る度に違う旬炊込飯があり、それを楽しみにしているお客様も多いです。どれも人気があるんですが、一番人気は生ワカメとしらすの旬炊込飯ですね。」



- 比較的早めに人気が出た印象がありますが、きっかけは?

「オープン時は広告やチラシもしなかったので毎日が大変でしたが、オープンして3ヶ月経った頃に、冷やしラーメンをテレビ番組で取り上げてもらったんです。そしてラーメン本にも載せてもらいました。それから年齢層を問わず、いろんなお客様が食べにきてくれるようになりましたね。」

 

- 岡部店主が大事にしていることは?

「ヒトとの繋がり、それしか無いかなと思いますね。お客様はラーメンを食べに来店してくれますが、それだけでなく『2人に会いに来た』とか『今日も元気をもらった』とか言ってくださるんです。お店というのは人と人の繋がりの場というか、知らない者同士が何か知っているかの如く、何か繋がるものを見つけられる場所なんじゃないかなと思うようになりました。」

 

●女将さんよりコメント

「こういう土地なので、オープン当初からお客様に声をかけることから始めないといけないと思っていました。私たちから声をかけたら返ってくるし、それによってお客様との繋がりが増えてきて今に繋がっていると思います。」


◆店舗情報

麺処 天川

大阪府大阪市西区本田1-11-20

twitter:https://twitter.com/men_amakawa_

instagram:https://www.instagram.com/mendokoro_amakawa_/

オープン日:2019年3月5日

 (取材・文・写真 KRK 令和4年9月14日)