今回取材するのは愛知県春日井市の人気店「らぅめん考房 ありがた屋」。多くの人気店が集結して連日賑わっているラーメン激戦区を長く支えてきたお店だ。名古屋時代も含めるともう創業19年になるという名店を率いてきた店主に、昼営業終わりに話す時間を作って頂いた。「らぅめん考房 ありがた屋」牧野店主にKRK直撃インタビュー!
- 出身は?
「春日井市が地元です。」
- ラーメンは昔から好きだったんですか?
「就職して社会人になってから山梨に行ったり東京に転勤になったりしていました。その中で一人暮らしだったので東京や山梨でもラーメンばっかり食べていましたね。」
- ラーメン屋をするきっかけは?
「好きとやりたいとは全然違う話かなと思っていましたが、どこかでサラリーマンが自分には向いていないという気持ちがありました。それでその仕事を離れて、修行とかじゃないですがラーメン屋で少し学ばせてもらい、名古屋市の池下で開業しました。2002年頃です。」
- 屋号「らぅめん考房 ありがた屋」の由来は?
「当時の僕はイキっていただけで(笑)、あんまり深い意味はないんです。考房は『KEEP THINKING、ずっと考え続けろ』から決めました。そういうお店でありたいと思いました。『ありがた屋』は深い意味は無くパッと浮かんだんです。」
- 当時、どんなラーメンを提供していたんですか?
「イメージとしては今のに近い。清湯の醤油と味噌、その2品だけでしたね。」
- メインに豚清湯を選んだ理由は?
「たまたまじゃないですかね(笑)? 清湯といえば鶏清湯が多かったので、僕はあまのじゃくな性格なので『ウチは豚でしよう!』と思いました。途中、鶏白湯とか取り入れたりもしていましたが、基本の清湯はずっと豚清湯です。」
- 当時の名古屋では清湯のお店は珍しい?
「僕が始めた時はまだ珍しくなかったんですが、そこから濃厚つけ麺ブームが名古屋にガーンと来たんです。だから僕と世代が近いお店もみんなそっち系になって人気店になり、あの頃は精神的には辛かったですね。自分のお店が世間から求められていないみたいに感じていました。」
- ブームに乗ろうとは考えなかったんですか?
「全く考えなかったです。それをしてしまうと流行りに乗りたがる店になってしまう。どっかでかっこつけている部分もあったと思うし、我慢していくことによって必ず時代が自分に回ってくることを信じていました。だから当時は今していることの精度を上げていこうと思っていました。」
◆2004年4月8日、春日井市に移転
- 2004年に地元の春日井市へ移転した理由は?
「2人目の子供が産まれて、春日井市に家を建てたんです。」
- コロナ禍で何か変化はありましたか?
「コロナ禍がどんどん広まっている時、メニューを思いっきりリニューアルしようと考えていたですよ。でも第一回目の緊急事態宣言の時、4月いっぱい休業して5月に営業再開した時にとても忙しかったんです。その時に『こんなにお客さんが来てくださっているのに全部変えてしまうのはどうなんだろう?』と思いました。それでリニューアルというよりはブラッシュアップ。もう一回、一つ一つをちゃんと見直そう。醤油を変えたりとか少しずつ見直すことにしました。
それでリニューアルして出そうと考えていた新味は、今、緊急事態中にしている朝営業で提供しています。朝営業は大変ですけど、全く違うことができることは自分にとっても良い刺激になっています。」
- コロナ禍を良い方向へ利用できたんですね。
「本当にもう一回真剣に見直さないとダメになると思いました。コロナで休業しなければならない時に、今までの自分ではあり得ないような時間をもらえました。昔はもっと浅かったと思うんです。今は本当に深くラーメンを見れるようになっています。例えば限定メニューを一つ作りました。今は『もう一回立ち止まって、これでいいのか考えろ』という考え方になりました。」
- 自家製麺はいつ頃から?
「7〜8年前だと思います。オープン当初は暇だった時期もありましたが、多くのマスメディアで紹介してもらってから凄く集客が良くなりました。当時の自分の実力以上の評価を頂いていて、忙しくて自分と向き合う時間も取れなかったんです。それでいろいろ問題も出てきていたので、『こんなことをしていたら駄目だ。もうお店をやめよう!』と妻に相談したんです。」
- その時の奥様の返事は?
「妻が『それでいいけど、何かやり残したことはないの?』と聞いてきたので、僕は『製麺をやってみたかったけどできなかったな。今の状況では出来ない』と答えました。すると妻が『それなら私が製麺をやる』と言い、それで店の中に製麺室を作って製麺を始めたんです。今も妻が製麺をしてくれています。」
- 牧野店主の大事にしていることは?
「僕は愛知県で一番なくらい愛想が無いし、接客が苦手です。何十年としてきた中で苦手なことをしようと今は全く考えなくなったし、自分の得意なことを伸ばしていこうと思っています。変に賑やかなお店でなくて、ラーメンに集中して食べていただける環境になっていると思います。自分が思ったことを貫いていく姿勢。それを好きと思ってくれる人とお客様として付き合っていければいいと思っています。誰にでも好かれようとすると疲れるし、自分らしさが無くなってしまう。『これが世界に一つしかない僕のラーメンです!』とやっていければいいなと思っています。」
◆しょうゆらぅめん
◆店舗情報
らぅめん考房 ありがた屋
愛知県春日井市小野町4-123
公式HP:https://arigataya-kasugai.jimdo.com/
twitter:https://twitter.com/arigataya_ramen
instagram:https://www.instagram.com/arigatayamakino/
Facebook:https://www.facebook.com/raumenkoubouarigataya/
(取材・文・写真 KRK 令和3年6月25日)