今回取材するのは京都の人気店「麺屋 坂本」。個性派揃いの京都ラーメンシーンで人気急上昇中のお店だ。一条寺の名店から独立したということでオープン時からかなり話題になっていたお店だが、私が興味を持ったのは修業店とは全く違った商品展開、そして関西ではまだ馴染みが無い関東の製麺所「浅草開化楼」の麺を使っているところだ。
店主とはまだ話したことがないので、いろいろ聞いてみたいことがある。「麺屋 坂本」坂本店主にKRK直撃インタビュー！
- ご出身は？
「京都です。」
- ラーメン屋をするきっかけは？
「調理師学校を出てから京都のホテルで10年ほど洋食をしていたんですが、先輩からラーメン屋を手伝って欲しいと連絡がありました。先輩が既に立ち上げていたお店が店舗展開をするので、調理経験のある僕に力を貸して欲しいとのことでした。それで先輩のお店に入りました。」
- その頃、ラーメンに対するイメージは？
「先輩のお店へ入る前は『簡単なのかな？』と正直舐めていましたが、実際に働き始めると打ちのめされたという感じでした。そして奥が深くて面白いなと思いました。」
- 独立志望はいつ頃から？
「そのグループに入って10年ほど経った頃に『そろそろ独立したいな！』と考え始めました。自分の腕を確かめたいという気持ちでしたね。時代も時代で、佐野さん（故・佐野実氏）が出てきたり、テレビ番組でもいろんなラーメン店主が取り上げられていました。京都でも、僕よりキャリアが下のラーメン職人もどんどん独立開業して話題になっている。そういうのを見ていると、自分もどこまでやれるかやってみたいと刺激を受けました。」
- 独立したいと思って？
「自分の技術には自信がありましたが、ラーメンに対する経験がまだまだ足りないと感じていました。勉強をしないといけないと思い、食べ歩きをしたり、いろんなラーメン屋さんで働いて学びました。最後に極鶏さん（麺屋 極鶏）でも3年ほどお世話になりました。あの忙しいお店の中で多くのことを学ばせてもらいました。」
◆2019年4月13日オープン
- そして独立ですね。場所は悩みましたか？
「物件を探すのだけでも半年ほどかかりましたね。この物件は来た時にすぐに決めました。大通りに面していて学校も近いし、このキャパなら1人でもできると思いました。」
- 屋号は悩みましたか？
「元々は『麺屋 和幸』でしようと考えていましたが、知り合いが『とんかつ屋か！検索で一番先に出る屋号にしないとあかんで！麺屋坂本でいいんじゃない？本格的な感じもするし』と言ってくれました。当時、東京に麺屋坂本01ってお店があったので悩んだんですが、僕の店のオープン一か月前くらいに東京のそのお店が閉店したんです。それで麺屋坂本でいこうと決めました。」
- 自店で提供する商品は悩みましたか？
「修行時代に既にイメージはありましたが、頭の中だけですからね。実際に試作を始めるとなかなか上手くいかない。それから先輩にも教わったりして試行錯誤して、みんなの協力の元、出来上がったのがこのラーメンです。」
- 清湯を選んだ理由は？
「元々は白湯でしようと思っていたんですよ。でも東京で食べ歩いている内に気が変わったんです。京都に白湯のお店は多かったんですが、清湯のお店って少なかったんです。鶏と煮干しの出汁が効いていて甘めのカエシでってラーメンが無かったんです。それで清湯でいこうと決心しました。」
- 東京の浅草開化楼の麺を使っているのも、オープン当初から話題になっていましたね。
「当初は麺屋棣鄂さんにお願いしようと考えていたんですが、麺屋棣鄂さんと知り合う前に開化楼さんと知り合ったんです。関西に開化楼さんの麺を使っているお店は少ないし、超有名な製麺屋さんなので一回使ってみたいなとお願いしたら、渋々でしたけど（笑）OK頂いたんです。」
- もう2周年が過ぎましたが、メニューも増えてきていますね。
「いろんな方からアドバイスをもらって、オープン当初はそんなにメニューを出さない方がいいと思ってやっていました。でも2人で来店すると違うラーメンを食べてシェアしたいと思うじゃないですか！僕もお客様を見ていて、『あ〜、一種類しかないの申し訳ないな〜』と思っていたんです。それで塩ラーメン、つけ麺とできて、夏場に冷やしラーメン。そして塩だとカエシと麺が変わっただけ、もうちょっと貝の出汁を加えた方がいいなと蜆が加わりました。今のお客様の流れを見ていると、このラインナップでちょうどいい感じかなと思っています。」
- 最後に坂本店主が一番大事にしていることを教えてください。
「前に進むことですね。軸がブレたら駄目なんですが、ちょっとずつでも美味しくならないかな〜と思って毎日しています。」
◆店舗情報
麺屋 坂本
京都府京都市上京区烏丸鞍馬口下がる上御霊中町456-6 大国ビル1F
公式HP：https://menya-sakamoto.jp/
twitter：https://twitter.com/@menya_saka
instagram：https://www.instagram.com/menya_sakamoto/
オープン日：2019年4月13日
（取材・文・写真 KRK 令和3年5月3日）
