Vol.182:麺家 半蔵


 「麺家 半蔵」「麺家 獅子丸」「麺家 幸先坂」、名古屋市のラーメンファンなら誰もが聞いたことがある人気店ばかりだろう。今回取材するのはこの人気3店舗を率いる「半蔵グループ」服部代表。創業店の半蔵、洋の獅子丸、和の幸先坂、それぞれのコンセプトが明確でどの店も気持ちよくラーメンを食べれる環境が確立されている。

 立ち上げるブランドが常にHITしている印象がある人気グループの代表は一体、どんな人物なのか?以前にイベントを通して挨拶はさせてもらっていたが、じっくり話すのは今回が初めてだ。"半蔵グループ"服部代表にKRK直撃インタビュー!


- 出身は?

「愛知県の尾張旭市です。」

 

- ラーメンに興味を持ったきっかけは?

「飲食にはずっと興味あり、最初はうどん屋さんで働いていました。当時、東京に7年くらい住んでいまして、東京には個性あるラーメン屋が多くてラーメンがとても好きになりました。早稲田の近くに住んでいたので一風堂さんや青葉さんとかよく行っていましたね。当時から『いつかは自分のお店をしたい!』とは思っていましたが、でもラーメンは好きなだけで商売としては考えていなかったです。」

 

- 当時、自分のお店でしたかったのは何だったんですか?

「いつかアメリカに行って自分のお店をしたいという夢があったんです。うどん屋ではそれ以外の知識が全く無かったので、もうちょっといろんな技術を習得しないといけないと考えました。『アメリカでするには寿司を握れないといけないな~』とか思って、うどん屋を離れて寿司屋で1年、フレンチで3年ほど勉強させてもらっていました。」


◆麺家 半蔵(2009年11月オープン)


- 自分のお店をする場所は名古屋と決めていたんですか?

「当時はもう東京から名古屋に戻ってきていたので、こっちで物件を探していました。そして地元の藤が丘のこの場所が見つかりました。それから『ここで何をしよう?』と考え始めました。」

 

- 順番が逆のような。。(笑)? 珍しい流れですね(笑)

「特に何をやりたいとか絞り込めていなくて(笑)。それでラーメンが好きだったので、その時にラーメン屋をしようと決めました。それで変わった商品で勝負しようと考えて、伊勢海老のラーメンとかを考案しました。」

 

-  そこでフレンチでの経験が活きてくるんですね。

「アメリケーヌの作り方だったりとかにこれまでの経験が役立ちました。珍しい商品なので当時は話題になってテレビとかでよく取り上げてもらいましたね。でもお客さんの評価は厳しくて最初は苦しかったです。完全に独学で始めましたから、今になって思えば当時はよくあんな商品でオープンしようと思ったな~って思いますね。今になって思えばですよ。」

 

- つけ麺メインも当時としては斬新でしたよね。

「当時、ちょうど『つけ麺ブーム』になりかけていた頃で、丸和さん(つけ麺 丸和)、晴レル屋、ぎんやさん、フジヤマ55さんが出てきて、ウチもその『第1次つけ麺ブーム』にギリギリ滑り込んだ感じ。ウチは王道でするのではなく、ウチ独自の商品で勝負しました。最初は本当に苦しかったですね。」


- 公式HPを見ていると、麺への拘りが凄いですね?

「同地域の有名店がどんどん自家製麺に移行していっていたし、一番大きなきっかけは昔から付き合いがある『麺者すぐれ』高松店主(当サイト記事)が自店に製麺機を導入したことでしたね。高松店主は以前に寿司屋で働いている時の同僚だったんです。その後、お互いラーメン屋になってもう15年くらいの付き合いになります。お互いのお店のオープン時は手伝い合っていましたから。そして高松店主が自家製麺を始めてその麺がとても美味しかったので、それに触発されてウチもすぐに製麺機を導入しました。だから高松店主の影響は大きいですね。」

 

- 東海は同業同士、技術交流が盛んですよね。

「今は常に進化していかないと駄目な時代。例えば誰かがウチに偵察に入ってウチのレシピでお店をオープンしたとしても、その店がずっと繁盛できるという時代ではありません。常に勉強を重ねて、常に進化していかないと時代に取り残されていきます。だからお互いの情報を共有し、お互いに高め合うことが大事になってきています。」


- 現在展開中の3店舗の紹介をお願いします。

「藤が丘の半蔵は一店舗目なので、創業の想いの強いラーメン屋。つけ麺をメインにしていたのでそのままつけ麺でしています。屋号は自分の名前が服部なので服部半蔵が浮かび、そこから『麺家 半蔵』。これはラーメン屋をする前からずっと自分の店をいつかする時の屋号として決めていたんですよ。だから迷うことなく麺家半蔵に決めました。麺家としたのは『スタッフ達とファミリーみたいなお店』ってイメージで付けました。」

 

- 名古屋駅近くの「麺家 獅子丸」は?

「屋号は忍者ハットリくんに出ている竹輪の好きな犬"獅子丸"からです(笑)。ずっと『2号店ができたらいいな~』と思っていて、ちょうど正社員希望で二人も面接に来たんです。まだ物件も見つかっていなかったので、二人とも雇うと当時はまだ一店舗だったのに社員が4人になってしまうんです。断ることもできたんですが、僕は外でアルバイトをして他の社員に店をまわしてもらうことにしました。ウチで働きたいと言ってくれる人間を大事にしたかったし、2号店の場所も探し続けていましたからね。

 当初は鶴舞で物件を探していたんですけどJRさんが『鶴舞の物件が駄目になった』と言ってきて、それで次に紹介してもらったのが今の場所です。いろいろ試作を重ねて、獅子丸は"洋"で行こうと決めました。違う名前でセカンドブランドを立ち上げた方がメリットが大きいと思いました。」


◆麺家 獅子丸(2016年7月7日オープン)


- そして最新店の「麺家 幸先坂」ですね。

「たまたま鶴舞の物件が空いたので、和をコンセプトで幸先坂を始めました。ウチのスタッフで和食経験者がいたので、彼の意見も取り入れながら立ち上げました。

 屋号はずっと藤子不二雄さんシリーズでと思っていたんですけど、ここは別から取りました。私の好きなアーティストが椎名林檎さんで、椎名林檎さんの知る人ぞ知る楽曲で"幸先坂"というのがあるんです。真木よう子さんの映画で真木よう子さんに歌ってもらうために楽曲提供をした曲なので知らない人が多いと思います。本当のファンが見たら分かると思いますが、幸先坂の店内に飾っている帯とか傘は、椎名林檎さんが実際に使っている番傘とかと同じのを飾っているんですよ。」


◆麺家 幸先坂(2019年5月30日オープン)


- アメリカへの夢は?

「実は今年2月までずっとロスにいて物件を探していて、紹介先も決まっていたんです。そのタイミングでコロナが始まってしまって、今は止まってしまっています。コロナが落ち着いたらまた動きたいと思っています。」

 

- 服部代表が大事にしていることは?

「お客さんに必要とされるお店でありたいと考えております。藤が丘で必要とされる半蔵、名古屋で必要とされる獅子丸、鶴舞で必要とされる幸先坂、常に必要とされるお店でいれるように日々取り組んでいます。」



 <店舗情報>

🏠半蔵グループ公式HP:https://www.menya-hanzo.com/

❶麺家 半蔵(2009年11月)

twitter:https://twitter.com/menyahanzou

愛知県名古屋市東区藤が丘148

❷麺家 獅子丸(2016年7月7日)

twitter:https://twitter.com/menyasisimaru

愛知県名古屋市中村区亀島2-1-1

❸麺家 幸先坂(2019年5月30日)

愛知県名古屋市中区千代田5-22-18グランドメゾン鶴舞公園1F

 

 (取材・文・写真 KRK 令和2年8月1日)