今回取材するのは三重県の県庁所在地「津市」にある「麺匠 粋や」。尾鷲の真鯛や錦爽鶏など三重県産の食材を使った商品をメインにしたお店で、いつも多くのお客様で賑わっている人気店だ。和風な外観と内観、そして広い駐車場完備。「近場にこんなお店があったらいいな~」と思えるお店だ。"麺匠 粋や"山口店主にKRK直撃インタビュー!
- 出身は?
「三重県生まれの三重県育ち。ここが地元です。」
- ラーメンとの出会いは?
「きっかけは高校時代に来来亭でアルバイトをしていて、その時に仕事が楽しかったんです。その来来亭の2階に社員寮があって、僕は社員さんと仲良かったので2階に泊まったりもして、夜はみんなで遊びに行っていました。その生活がとても楽しかったんです。」
- その時にラーメン屋をしたいと思ったんですか?
「その時点ではまだラーメン屋をするとは考えていなくて、卒業してから、一旦、全然違う職種に行きました。それからいろんな仕事を転々として何をやっても続かなかったんです。ある時、近所に開花屋の久居店がオープンするということでオープニングスタッフを募集していたんですよ。それを見て『あ~、やっぱり俺はラーメンを作りたいな!』と思いました。それで開花屋さんでお世話になることになりました。」
- 開花屋では?
「20歳で入ってすぐに社員になって、それから店長になって全部任してもらうようになりました。けっこう自由にさせてもらえる会社だったし、お店の立ち上げとかいい経験を積ませてもらいました。」
- 当時から独立志望はあったんですか?
「はい。ずっと自分の店をいつかすると会社にも言っていました。」
- 独立への流れは?
「僕が入ったフランチャイズ(久居店)のオーナーが辞めることになった時、社長から『お前、久居店を買わへんか?』と言われました。僕は当時本部で働いていたんですが、ずっと将来は独立をすると伝えていましたから。それで聞かれた時に『買います!』と即答しました。開花屋のフランチャイズ店から独立店になるという形ですね。」
- その場所で違う屋号での営業もしているんですよね?
「開花屋で独立してからしばらく経ってから、その店が入っていたビルを潰すことになって立ち退きの話が出てきました。それで立ち退きのタイミングで開花屋の本部に『辞めます』と伝えていました。でもビルを潰すのが少し延期になったので、とりあえず看板なども変えてタンメンをメインをしたお店『タンメン本舗ろざん』として営業をしていました。あくまでもビルを潰すまでの間にするお店でした。」
- その間に物件探しをしていたんですね。
「駐車場がある、ちょうどいい物件がなかなか無かったんです。ビルを潰す時期もどんどん近づいてきて、友人に相談すると『土地を探してみたら?』とアドバイスをもらいました。それで土地を探してもらうとすぐにこの場所が見つかりました。土地を買って、一からこのお店を作りました。」
麺匠 粋や(2018年1月11日オープン)
- 屋号の由来は?
「自家製麺をするので麺を極めたいなと思い、『麺匠ってかっこいいな!』と思いました。『粋や』は地元の食材に拘るところや接客とかに『粋やな!』と言ってもらえるようなお店にしたいと思ったので。」
- この建物のイメージは?
「自分が和風の建物が好きだったんです。それでいろいろ見て廻って、京都の麺屋たけ井さんや愛知のガチ麺道場さんの外観が『かっこいいな~』と思いました。和風の外観なので、オープン当初はうどん屋とか蕎麦屋と間違って帰っていく方も多かったですね(笑)。」
- 場所は津市に拘った?
「はい!津市だけです。ずっと津市から出たことないし、慣れ親しんでいる土地。地元の食材を使ってお店をしたいと思っていましたから。」
- 「粋や」で提供する商品は前から考えていたんですか?
「開花屋で独立してから限定とか月替わりとかでいろいろ出していて、お客様の評判とか自分で食べて美味しいと思ったものをここに持ってきたという感じですね。」
- 自家製麺がとても評判いいですよね。
「この店を始めるタイミングで自家製麺に移行しました。当初は麺のことが全然分かっていなかったので、なかなか巧くいかなかったですね。自分の中で良くなってきたなと思えるようになったのは、やっぱりガチ麺道場の上野さん(現・「麦の上」店主)と知り合って教えてもらうようになってからですね。上野さんとは名古屋のラーメン祭で知り合って、一緒に東北へ食べ歩きに行かせてもらったりもしました。知り合う前にガチ麺道場さんへ食べに行ったんですが、やっぱり上野さんの麺は衝撃でしたね。『こういう麺を作れるようになりたいな!』と思いました。」
- メニュートップを鯛の商品にしたきっかけは?
「東京の麺魚さんが鮮魚系で話題になっていた頃、自分もやってみようかと限定で鯛を出したんです。その商品がお客様にとても評判良かったんですよね~。鶏出汁の醤油ラーメンとか美味しいんですけど、どこにでもあるじゃないですか。ウチでしか食べられない特別なのを作りたいんです。でも鯛はめちゃめちゃ迷走していますけどね(笑)。鯛は白湯も清湯も美味しいので自分の中でブレてしまう。鯛を使うって気持ちはブレていないんですけどね。オープン当初の鯛は白湯寄りだったし、透き通った清湯だった期間もあります。『こっちの方が美味いんじゃないかな?』とかずっと試行錯誤しています。今までよりは少しでも美味しいのができたらいいなと取り組んでいます。」
- 尾鷲の鯛は安定して入手できるんですか?
「限定で出すくらいだったらいいんですが、レギュラー商品として安定して大量に入手できる仕入れ先を見つけるのが凄く大変でしたね。」
- もう1つの商品を泡系にした理由は?
「大阪を食べ歩いていた時にちょうど泡系が流行っていて、三重県にはまだあまり無かったんです。豚はあまり使う気は無くて、鶏でいこうって思った時に『泡があった方が美味しいし、ビジュアルもいいな!』と思いました。」
- 最後に山口店主が大事にしていることを教えてください。
「僕は常に疑っていますね。『これが一番美味しいのか?』っていつも疑っています。正解なんて無いんですけど、上を目指し続けるために必要なことだと思います。お客様の舌も変わっていくし、流行りも変わっていくじゃないですか。同じところで満足してしまうと後は下がっていくしかないと思うので、常に美味しいラーメンを求めて食べ歩いて、そこで得たことを自分のラーメンに還元していくことを大事にしています。」
<店舗情報>
■麺匠 粋や
三重県津市久居藤ヶ丘町2572
Twitter:https://twitter.com/IKIYA0111
Facebook:https://www.facebook.com/mensyouikiya/
オープン日:2018年1月11日
(取材・文・写真 KRK 令和元年6月10日)