令和になってすぐに兵庫県宝塚市に注目店がオープンした!屋号は宝麺えびす丸。大阪のラーメン激戦区「西中島」で人気だった「えびす丸」が屋号変更して移転したお店だ。西中島に移転前の吹田時代から定期的に通っていたお店なので今回の移転にはとても驚いた。
大阪から出て、新天地で再出発したばかりの店主にどんな話が聞けるか楽しみだ。「宝麺えびす丸」瀬戸店主にKRK直撃インタビュー!
- 出身は?
「生まれは岡山県です。大学進学で京都に来ました。関大と立命を受かったんですけど、立命の方がいいと思って選びました。倉木麻衣さんがその年、立命館に入る年だったのもありますね(笑)。」
- 当時は何かやりたいことがあったんですか?
「その時は何がしたいとか全く考えていなくて、『とりあえず大学に行ったら何か見つかるだろう』という感じでしたね。」
- ラーメンは好きだったんですか?
「岡山にいた頃は全然食べていなかったです。香川の隣なので、うどんを食べることの方が多かったですね。ラーメンを食べ始めたのは京都に来てからです。」
- 京都でラーメンを好きになったきっかけは?
「バイト仲間とラーメン食べに行こうってことになって、一条寺に行きました。その時に食べたのが天天有さん(天天有 本店)。甘くて美味しかったですね~。チャーシューも薄切りでさっぱり系で美味しかった!
それからラーメンに興味を持って、いろいろ食べ歩きを始めました。でも僕は出不精だったので、結局、家の近所だったしゃかりきさん(京都千丸しゃかりき)ばっかり行っていましたね。」
- 当時、将来ラーメン屋をしたいって気持ちは?
「ちょっとだけ思ってたんですけど、料理の経験が無かったのと、せっかく大学まで行かせてもらったのでとりあえず就職しないとって感じでしたね。」
- 大学を卒業して?
「普通に就職したんですが全然仕事できなくて2回転職もしたんですが、4年くらいサラリーマンして自分には無理だなと思いました。それで自分に何が向いているのか知りたくて、飲み会で知り合って『ちょっといいな』と思った女性がきっかけで占い師のところへ行きました(笑)。『自分にはどんな仕事が向いていますか?』と聞いたら、一番向いているのが癒しの仕事、整体師とかですね。それで二番目が飲食業と言われました。キーワードが血と骨と肉、細長いものってことでした。」
- 占ってもらって、すぐに動いたんですか?
「整体の勉強はセンスはあったみたいですが全然面白くなかった。他人の体を触るのが嫌で(笑)、全然向いていなかったんです。それで、二番目に向いていると言われた飲食業ですね。『血と骨と肉、細長いもの。それってラーメンだな。そういえば俺はラーメンが好きだったな!』と思い出しました。
サラリーマンが無理、癒しの仕事が無理。もう飲食業しかない。ラーメン屋しか無いと思いました。転職も2回失敗して、ひょんなことで作った借金も200万くらいあって軽く人生に絶望していて、自分で選んでも失敗ばかりしていたので投げやりな気持ちで、いっそのこと占いで働くお店を決めてもらうことにしました。」
- それは斬新(笑)
- 当時のタウンワークを見るとラーメン屋の募集が4つありました。どの店も知っている有名店ばかりでしたね。それでダウジングやタロットカードで占ってもらった結果、『某店(非公表)しかない』って言われました。」
- 初めてラーメン屋で働いてどうでしたか?
「楽しかったですね。僕が今もいろんなメニューが出せているのは、そのお店で多くのことを学ばせてもらったお陰です。白湯も清湯も勉強できましたから。そのお店では2年半ほどお世話になりました。正式に卒業していないので非公表でお願いします。」
- 某店を離れて、それから独立って流れですか?
「某店を離れてから、うどん屋さんで1年ほど働いたんですよ。某有名店です。」
- えっ?凄い有名店ですよね(驚)!
「独立への資金稼ぎもあるんですけど、当時、うどんにもとても興味があったんです。『働いてみてうどんの方が面白かったら、うどん屋をしてもいいな!』と思ってたくらいです。でも半年ほど働いてみて、やっぱり自分にはラーメンが合っているなと分かりました。それですぐにラーメン屋をやりたくなって、いろいろ物件を調べてみると吹田の物件に出会いました。」
- 最初のお店の場所ですね。
「交通量は多いけど人通りが無くて、パーキングも当時は近くに一カ所しかなかったんです。でもすぐに始めたかったのでその物件で決めました。」
えびす丸(2014年1月16日オープン)
- 屋号の由来は?
「屋号も占い師に決めてもらいました(笑)。一応、自分で候補を出して、それの字画を見てもらうって形でした。えびす丸って言葉が出てきたのは、開店準備時にダイコクドラッグによく行っていたんですよ。いつ行ってもお客さんがいっぱいいて、ダイコクってのもいいなって。でも、そのままダイコクってのもあれなので、大国と言えば戎。それでなんとなく『丸』も付けようかってことで、えびす丸。それで占い師の先生に他の候補も含めて幾つかを見せると、『えびす丸だけいい。これだけいい!』と言われたんです。
当初は『極麺 青二犀』みたいにえびす丸の前に何か付けたかったんですが、アイデアが全く出なかったんですよ。それで屋号は『えびす丸』に決めました。」
- 自分のお店で提供する商品について
「清湯だけでしたかったので、最初は白湯はメニューに入れてなかったんです。でも成功させるために白湯も出さないと駄目だなって思ったので途中から加えました。注文はもう白湯ばっかりでしたね。」
- 吹田からの移転を考え始めた理由は?
「吹田の店は狭かったんですよね。冷蔵庫を置くスペースが無かったので、いっぱい炊けなかったんですよ。白湯が売り切れたら帰るお客さんがいる。それが凄いストレスでしたね。だったら冷蔵庫を置ける広いところに移転しないとなって。
あとは自分1人で半日仕事の白湯を週4~5回炊いて、毎日自家製麺もして、鶏と豚のチャーシューや半熟煮卵を仕込んでとかだったので、もう全然余裕がない。余裕がある時間があれば新メニューや新しい材料とか試したりできるんですが、全然できていなかったんですよ。今はいいけど長いスパンで考えると、進化しないとって。変わらないために変わり続けるって誰かが言っていたじゃないですか!もっと広い店舗に移転して、今の倍のスープを炊けたら余裕もできてくるって思いました。」
えびす丸(2016年6月12日 移転オープン)
- 移転先に西中島を選んだ理由は?
「場所はどこでもよかったんです。席数より店舗の広さが欲しいって探していました。それで出会ったのが西中島のあの場所だっただけです。」
- 広い店舗に移転して、どうでしたか?
「自分も余裕ができて限定とかいろいろ試せるようになってきたので、吹田時代より西中島の時の方が味は全然良くなったと思います。ラーメン屋としての味の幅ができてきましたね。」
- 再び移転をしようと思った理由は?
「西中島のえびす丸はランチタイムにドッとお客さんが来て、 それ以外の時間はあんまりという具合でした。そのランチタイムのお客さんがオフィス街だからなのか、 せわしない人が多くて、 自分にとっては忙しさの質が気持ちのいい忙しさではなかったです 。忙しいのはもちろんありがたいですけど、 ラーメンを作っている最中も常に急かされているような感覚がありました 。自分は一生ラーメン屋をしていきたいので、 毎日この感じの中ではずっとラーメン屋を続けることはできないんじゃないか、 と思いました。こう見えて繊細で神経質なので(笑)。
あとは子供ができたのも大きな理由の1つですね。 それで都市部より郊外の方がいいんじゃないかなということで移転先を一年くらい探していたんです。主に妻の実家のある枚方市で探していましたね。 でも一年くらい探してても希望の枚方あたりでは良さそうな物件が 全然見つからなかったんです。」
- 宝塚市が出てきたきっかけは?
「妻の義妹から『プロ野球の某大物監督も来ているような京都の占いに行った!』と聞いて、面白そうなんで自分も移転するかしないかも含めてちょっと聞いてみようと、今年1月(2019年1月)に行ってみたんです。それで移転について聞いてみたら、『絶対にした方がいい!今年移転したらずっといい!』ということでした。一年ぐらい枚方あたりで探していい物件が見つからないことを相談すると、当時の場所(西中島)から東か北北西、山の近く、馬に関わるものの近くが僕にはいい、と。それを聞いて、『宝塚?』って思いました。僕もちょっとだけ競馬をするので、『競馬場って宝塚か淀(京都)、山の近くは宝塚だな』って。それで、その帰路にスマホで『宝塚、ラーメン居抜き』で検索したら、この場所が出てきたんです。」
- 行動が早い(笑)
「それでとりあえず見に行こうかって来てみたら、製麺室もあるし、競馬場の目の前。それで青二犀さんの場所を決めた業者さんに見にきてもらったら、『ココいいですよ!絶対にここでした方がいい!』って。それでここに決めました。」
宝麺 えびす丸(2019年5月18日オープン)
- 屋号変更した理由は?
「青二犀の『極麺』ってのを名付けた業者の人に『宝ってのがいいワードになる』とアドバイスをもらいました。宝塚市の宝、ラーメンって宝探しみたいなものだなってことで『宝麺 えびす丸』に決めました。」
- 宝塚市の印象は?
「ゆったりした街なので、長くラーメン屋をしていくのにも、子育てにもいい街だな~って思いました。」
- 「宝麺 えびす丸」の商品についてお願いします。
「こっちに来て地産地消みたいにしたかったので、兵庫県の足立醸造さんの醤油を新たに使うことにしました。芳醇の芳を宝にして、宝醇中華そば。どうしても清湯をしたかったですね。皆さんが白湯を好きなので、白湯も加えています。」
- 新商品の播州鶏醤油は?
「飛び込み営業で来た業者さんが『播州百日どりをリーズナブルな価格で納品可能』ってことだったので、試しに清湯を炊いてみたら美味しかったんですよね。それでえびす丸では初の鶏清湯100%醤油ラーメンを新たに始めました。」
- 瀬戸店主が大事にしていることは?
「一杯入魂。他人に任せることができず全部自分でやりたい性格なので、宝麺えびす丸のラーメンは全部自分で作ります。あとは何でも丁寧な仕事をしていきたいと思っています。」
<店舗情報>
■宝麺 えびす丸
住所:兵庫県宝塚市鹿塩1-10-14
twitter:https://twitter.com/suita_ebisumaru
(取材・文・写真 KRK 令和元年6月18日)