2016年2月、静岡県島田市の人気店を初めて訪れた。住宅街の奥に入った場所にあり、土地勘の無い私は「こんな道に入って、本当にラーメン屋があるのか?」と不安になったのを憶えている。そのお店が今回取材をする"めん奏心"。某グルメサイトで不動の静岡No.1の超人気店だ。
オープンキッチンで明るい雰囲気のお店だが、提供しているラーメンはどれも全力で振り切った一杯!そのギャップに驚いたものだ。店主とは営業中に少し話したことがあったが、ゆっくり話すのは初めてだと思う。"らぁ麺 めん奏心"鈴木店主にKRK直撃インタビュー!
- 出身は?
「お店のある島田市です。」
- ラーメンはよく食べていたんですか?
「サラリーマンをしていた頃、いろんなお店を食べ歩きで廻っていました。ラーメンが主でしたね。静岡県内メインで食べていましたが、前職は出張が多かったので地方のラーメン屋もいろいろ行っていましたね。」
- いつか自分でお店をするって気持ちは?
「漠然とですが、何か飲食に携わる仕事をしたいなとは思っていました。定年を過ぎてもできる仕事として、自営をしたい。あんまり年をとってからだとできないので、やっぱり40代くらいに始めないと無理かなと思っていました。」
- どこか影響を受けたお店はありますか?
「食べ歩きで衝撃だったのが、東京の伊藤さんの煮干しラーメン。あのラーメンを食べてから、ずっとそのイメージが残っていました。自分のお店をやるなら、ちょっと尖った、ああいう系統のがしたいなと思っていました。」
- ラーメンの作り方はどこで学んだんですか?
「年齢的にもあんまり時間がなかったのでいろいろ調べていったら、大和製麺所さんのラーメン学校を見つけました。それで問い合わせたら『半年後なら入校できる』ということでした。」
- 半年待ち! 凄い人気なんですね。
「それで半年ほど空いたので、大和製作所からいろいろ資料をもらって、自分でいろいろ手探りで自作しながら準備していました。そして半年が経って、しっかり問題を持って学校に入りました。自作を通して浮かびあがってきた分からないところ、これがなぜそうなるのか、何のためにするのか、そういうところをラーメン学校で削っていくって作業でしたね。」
- 大和製作所で学んだことは?
「基本的に水位を変えない。やっぱり量的な問題。時間を計る。重さを量る。液体だからどうしてもccとか容量でいきがちですけど、各々比重が違うので全部グラム単位でということです。」
らぁ麺 めん奏心(2010年8月11日オープン)
- 場所は悩みましたか?
「静岡に戻ってきて、すぐに地元島田市で物件探ししました。この場所は、元々は建設会社の廃炉置き場。大きなコンクリートの塊があったりとかでしたね。」
- かなり見つけにくい場所ですね。初めて来た時、だいぶ迷いましたよ(笑)。
「見つけにくい所ほど、頑張ったらお客様が来てくれるんじゃないかと思いました。時間帯も朝9時からしているんですけど、表通りから胴体が見えないので、営業屋さんが会社の看板を付けた車で入ってきても大丈夫ですしね。」
- 屋号の由来は?
「大和製作所で『自家製麺でする!』と決めたので、麺から始まるって意味。『奏でて、気持ち(心)を持ってやりたい』ということです。」
丸鶏中華そば
- オープン時の商品は?
「基本的に複合の魚介スープ。今は丸鶏だけですけど、当時は豚清湯と丸鶏の清湯のブレンドに魚介を落としたってのを主でやっていました。将来的に丸鶏をメインで持ってくるとかはまだ決めていなくて、探り探りでやっていましたね。」
- オープンしてお客様からの反応はどうでしたか?
「田舎ですので、ラーメン=醤油ラーメンってイメージしか無い地域でしたので、最初は大変でしたね。丸鶏をストレートでやったらどうなるかとか、煮干しだけで単独でやったらどうなるかとか、お客様に意見を聞きながらしていました。」
- 開放的な店の雰囲気が素晴らしいですよね。
「作っているところを見せて、お客様に安心感を持ってもらいたい。お客様が注文したラーメンが目の前で作られているのを見ながら、待ち時間を短く感じてもらいたい。オープンキッチンで嘘も隠しもなく、ちゃんと作っていますと分かってもらいたい。だから厨房を少し低い位置に下げて、お客様が座った目線と、我々が立った目線が同じになるようにしました。」
- 鈴木店主が大事にしていること。
「まずお客様本位に考えたい。食べたいものと作りたいものは絶対に違うので、そこはお客様に合わせて、お客様が欲しいと思うものを作っていきたい。
僕は飲食の経験もあまりないので、技術的なものはあまり持っているとは思っていない。一番大事にしていることは、同じことを徹底してやるということです。そこが絶対にブレないようにしていきたいです。」
<店舗情報>
■らぁ麺 めん奏心
住所:静岡県島田市金谷栄町3538
公式ブログ:https://blog.goo.ne.jp/mensousin
twitter:https://twitter.com/butakuma5963
オープン日:2010年8月11日
(取材・文・写真 KRK 平成31年3月5日)