Vol.117:麺や ひなた


 ラーメン激戦区"塚本エリア"に、注目のお店が2017年3月にオープンした。店主は名門"きんせいグループ"出身の方。修業時代にも何度か話したことがあったので、この新店の登場は私にとっても「待ってました!」という気分だった。

 オープン後の活躍は説明する必要もないだろう。安定したレギュラーメニューに、数々の限定。多くのラーメンファンからの支持をしっかり得て、エリア屈指の人気店となっている。もうすぐ2周年なので、「タイミング的にはそろそろだな!」と思い、取材をお願いした。ゆっくり話すのは初めてだ。"麺や ひなた"戸田店主にKRK直撃インタビュー!


- 出身は?

「神戸の西区です。」

 

- ラーメンは昔から好きだったんですか?

「僕が育ってきた地域ではあまりラーメン屋がありませんでした。あってもチェーン店だったので、あんまり家族や仲間内で『ラーメンを食べに行こう』という話にもならなくて、ほとんど食べていなかったですね。」

 

- 飲食をするきっかけは?

「18歳から家を出て仕事をしたかったので、尼崎市でサラリーマンを7~8年くらいしていました。当時から、『いつか自分で何か事業をしたいな~』って想いがありました。高校入る時に工業か調理師学校か悩んだくらい料理が好きだったので、今からでも料理をして自分のお店を持てたらなと思い始めました。」

 

- どんなお店をしたかったんですか?

「最初はラーメンって全く考えていなくて、お酒も料理も好きだったので、北新地のダイニングバーで働き始めました。料理とお酒と接客って感じのお店でしたね。そのお店で働きながら将来自分がこういうお店をすると考えたら、食材のロス、従業員も必要だし、リスクがけっこう大きく感じました。

 それで『もうちょっと絞った食材で勝負できる仕事がいいな~』と考えるようになりました。そこで浮かんだのがラーメンでした。うどん、蕎麦とかも考えましたが、ラーメンの方が面白いかなと思いました。」


- ラーメン屋に興味を持ってから?

「求人を出しているラーメン屋で、一番美味しいお店で働こうと決めました。それから求人が出ていたお店をいろいろ食べ歩くようになって、ある日、きんせいさん(彩色ラーメンきんせい)に食べに行きました。食べてみると、『あっ!美味しいな!ここで働きたいな~。』とすぐに思いました。それまではチェーン店の濃い豚骨醤油みたいなのしか知らなかったので、きんせいのラーメンは今まで食べたことない味で衝撃的に美味しかったです。塩や醤油、あっさりで魚介が入ったダブルスープ。麺ももっちりしていたし、驚きましたね~。」

 

- すぐに働き始めたんですか?

「面接の時に『3年で独立したい』と伝えました。最初は高槻駅前店からでしたね。最初の一カ月くらいはダイニングバーとの掛け持ちで働いていました。家から通うのが電車では時間が無理。バイクがいるということだったので、免許を取りにいくところから始めました。深夜から朝までダイニングバーで働き、昼にバイトできんせいに入って、それからバイクの教習所に行って、また夜にダイニングバーって生活でした。大変でしたよ~。それから無事に免許を取り、バイクを買って、きんせいで正社員として働かせてもらうことになりました。」


修業時代の戸田店主(撮影日:2016年12月)


- 独立に向けて、修業は順調でしたか?

「1年くらいで店長を任せてもらえましたし、いろんな経験をさせてもらえて凄く勉強になることばかりでした。独立に向けての最後の方になってきた頃に、まだ麺とタレとかラーメン一杯を自分で作ることができていない状態だったんです。独立して自分でやるなら、全部自分で作れてラーメン屋だと思っていましたので、大将に『全部知りたいです!』とお願いしました。それで(麺などを作る)工場の方で最後に働かせてもらえました。」


麺や ひなた(2017年3月24日オープン)


- 場所はいろいろ探したんですか?

「住んでいるのが尼崎なので、尼崎近辺、西宮北口、東は人が多いと嫌だったので『大阪の梅田までは行きたくない』って感じで探していました。なかなか見つからなかったですね。ある日、知り合いの不動産屋さんからこの場所を教えてもらって見に来た時に、『この場所で頑張ってみようかな』と決心しました。」

 

- 提供する商品は卒業前に決めていたんですか?

「全然試作とかもしていなくて、"きんせい"から卒業してから考えました。塩ラーメンが好きで"きんせい"に入ったので、頭の中では『塩でやりたいな!』とは思っていましたね。」


【KRK動画】屋号の由来、商品について


- 看板に「自家製麺」と大きく書いてありますね。

きんせいの時は大きい機械でしていましたが、ウチにあるような13キロのミキサーではやったことがなかったので、最初の頃はやっぱり思い通りにはならなかったですね。環境も変わっているし、自分なりに粉も混ぜたりしていたので苦労しました。麺に関しては、オープンから1年半はきんせいのオリジナルブレンド"夢の風"を使わせてもらっていたんですが、最近は全部自分の配合で作るのにチャレンジしています。」

 

- 他にもいろいろチャレンジしているんですか?

「スープも鶏を変えたり、魚スープの種類を変えたりとかも考えています。」



- 戸田店主が大切にしていることは?

「お客様に食べて喜んでもらえて、元気になってもらえたらなっていつも思っています。美味しいと思う気持ちや、頑張っている姿を見せれたりとか、いろんな面で元気、笑顔になってもらえたらいいなと思っています。」



 <店舗情報>

■麺や ひなた

住所:大阪府大阪市淀川区塚本2-29-7

公式ブログ:http://menyahinata.blog.jp/

Twitter:https://twitter.com/arTCCPwfCil4hhZ

オープン日:2017年3月24日

 (取材・文・写真 KRK 平成31年1月11日)