Vol.112:濃厚ラーメン かなや


 2018年2月、方南町駅の北側に気になるお店がオープンした。屋号は"濃厚ラーメンかなや"。関西在住の私が東京の新店が気になるなんて滅多に無いんだが、この新店は特別だ。この新店の店主は、高校時代から"ラーメン高校生"として全国を食べ歩き、メディアにも多数出演し、単独でラーメン本(全国やみつきラーメン)まで出していた有名なラーメン評論家だった方だ。私も交流があって、彼とは北海道や関東、東海、関西を一緒に食べ歩いた思い出がたくさんある。

 あの時の"ラーメン高校生"が大人になって、遂に自分のお店をオープンした。彼のラーメン本には「将来の夢は、たくさんの人に愛されるような長く続くラーメン店を開業すること」と書かれている。夢の実現へ向けて歩み出した彼のお店へ、今回初めて食べに行くことにドキドキした。"濃厚ラーメンかなや"山内店主にKRK直撃インタビュー!


- 出身は?

「埼玉です。」

- ラーメンとの出会いは

「小学4年の終わりに東京で食べた"とんちん(東京豚骨ラーメン とんちん池袋本店)"ですね。それまではラーメンとか好きじゃなかったんですけど、父ちゃんに"とんちん"へ連れて行ってもらったんですよね。それで行列ができていて、接客も良くて、味も当時そこしか食べたことなかったから『めちゃめちゃうめ~!』って感動しました。三拍子揃っていて良い店だな~って思って、それからラーメンを食べるようになっていきました。本格的には中学生からですが、小学生の時もちょこちょこ食べに行っていましたね。」

 

- ラーメン屋をしようと思ったきっかけは?

「本を出した時ですね。本の中で『5年以内にお店を出したい』と書いていたんですよ。」

 

- ラーメン高校生の頃はラーメン屋をしたいって気持ちは無かった?

「まだ全然思っていなかったですよ。小4の終わりに目覚めてから約12年くらい食べ歩いていたんです。それでもまだ20歳くらいだったんですが、なんか急にラーメンを作りたくなったんですよね。」


濃厚ラーメン かなや(2018年2月10日オープン)


- "濃厚ラーメン かなや"の話はいつ頃から?

「なんか3人で突然『ラーメン屋をやろうか!』って。僕と二人が繋がっていて、その二人同士は繋がっていなかったんですけど。」

 

- 3人とは?

「昔からお世話になっている服屋の長岡さん、町田の"一番いちばん"金原店主、そして僕です。屋号も3人の苗字からとって、『か』が金原、『な』が長岡、『や』が山内、"かなや"と決めました。

 長岡さんとは昔から付き合いがあって、『ラーメン屋をしようか』って話はしていたんですよ。でも僕も素人なので味とかオペレーションができても、例えばゴミ屋さんとか業者さんが分からないんです。それで『ラーメン屋さんも一人いた方がいいな』と話していて、ちょうど金原さんとも『一緒に何かやりたいな』って話をしていて、それで3人で一緒にできたらちょうどいいなってなりました。」 

 

- この場所に決めたのは?

「3人でやろうと決めてから、物件はずっと探していたんですよ。どうしようかなって時にこの物件の話が来て、駅からも近いしいいなって。」

 

- ラーメン屋を始めて、どうですか?

「めちゃめちゃ大変ですよね。深夜1時に営業終わって、5時とか6時頃まで片付けや仕込みをして、帰ったら朝7時くらい。それでまた11時頃にお店に来るって生活ですから。」


濃厚ラーメン黒


- 提供するラーメンは悩んだんですか?

「最初、『清湯をやろうかな』と思っていたんですけど、(ラーメン評論家だった)僕が清湯をしたらいかにもみたいな感じになる(笑)。じゃあ真逆の濃厚系でやろうって。店構えも含めて、大衆的な感じでしようと決めました。」

 

- 商品の紹介をお願いします。

「ウチは豚の頭がメインなんですけど、頭9割、背脂1割ほどで約10時間くらい炊いています。ガンガン炊くような感じじゃなくて、この地域はお年寄りの方や女性も多いので、臭みがないクリーミーなのがいいなと思っています。チャーシューも低温調理じゃなくて、煮豚を昔ながらの製法で作っています。

  それと営業が深夜帯なので、呑んだ後のお客様も多いので塩分は強めにしています。お客様に薄めがいいって言われたら調整しますし、『麺硬め』とかも自由に聞いています。卓上もいろいろ用意していますので、味を変えたかったらバンバン入れて欲しいです。」



 - 麺は?

「ウチは自家製麺じゃなくて、埼玉の豊華食品って麺屋さんの麺を使っています。デフォが太麺で、博多系の細麺もあります。今、家系の麺って逆切りと言われている麺なんですが、この麺はそれができる前の麺なんです。でもウチのスープは豚の頭を使った博多っぽいスープなので、実際は細麺の方が合うんです。細麺は九州の粉を使って特注で作ってもらっています。

 太麺の方は大盛り無料です。自家製麺のお店で大盛り無料はよくありますが、製麺所の麺で大盛り無料ってほとんど無い。ウチはお客様に腹いっぱい食べて欲しい。爪楊枝でも加えて、『ごちそうさん!』って帰ってくれるお店が理想なんです。」



- 大切にしていることは?

「味もそうなんですけど、掃除だったり、お客様に対する接客だったりを大切にしています。ラヲタ上がりのお店って接客よりも『味を極める』って感じが多いじゃないですか?僕はそこだけじゃなくて、お客様目線で店作りをしていきたいんです。地域に馴染んだお店がしたいなと思っています。」



 <店舗情報>

■濃厚ラーメンかなや

住所:東京都杉並区堀ノ内1-3-13 ライオンズプラザ方南町 1-D

twitter:https://twitter.com/kanayaramen2018

オープン日:2018年2月10日

 (取材・文・写真 KRK 平成30年12月29日)