2018年1月20日、兵庫県尼崎市に新しいラーメン店がオープンする。屋号は"ぶたのほし"。店主は無鉄砲グループで約9年間の修行を経て、この地で独立開業。私にとっては『遂にこの日がやって来た!』という気分だ。
時は遡って2014年12月、あの伝説の"無鉄砲 x あっぱれ屋"コラボ営業の時に、無鉄砲グループの1人の男性と話す機会があった。その男性こそが"ぶたのほし"高田店主だった。あれから約3年か。高田店主にとって長かったか短かったか知る由も無いが、私にとっては待ちに待った日だ。無鉄砲出身というあまりにも大きいプレッシャーを背負い、新たな人生を歩み始めた高田店主にKRK直撃インタビュー!
- オープンの日は決まったんですか?
「1月20日、土曜日にオープンを予定しています。営業時間は11:00~15:00 18:00~21:30を予定していますが、スタッフの体勢が整うまで当面はお昼のみの営業となる可能性があります。」
- "ぶたのほし"って屋号の由来は?
「3つ理由があるんです。1つは、尼崎で小さくてもいいからキラリと光る豚骨屋の星になれたらな~ってのがあります。もう1つは、豚の命を代表するって意味もあります。」
- 豚の命ですか?
「僕は作り手としていつも食材に携わってるんですけど、全てに命があって知らぬ間にその命を僕らは奪って食べて生きているということを常に意識しています。そういう豚の命をもらってるっていうことを伝えていける伝道者みたいになっていきたいなって。
僕は無鉄砲での9年間で豚骨を500トン、頭数にして20万頭の豚の骨を割ってきたのです。絶対人には任せずに、自分で作るスープの骨は必ず自分で100㎏、100㎏、、、って毎朝割っていました。割ってる内に1つ1つの骨に個体差があって、形や大きさの違いの他、雄雌の違い、変形した骨などがあったりで、やってる内に1つ1つに命があるって気づきました。なんて尊いことを僕はやってるのかなって思った時に、この骨を無駄にしたら駄目だなって。もしこれでまずいものを作ってしまったら駄目だなって思いました。それで豚を代表して"ぶたのほし“って屋号にしました。
それともう1つの理由は、ミシュランの星を狙ってます(笑)。」
- この世界に入ったきっかけは?
「その前に6年間ほど自分で会社をしていたんですが、リーマンショックの時にあっという間に資金が消えてしまったんです。倒産したわけではなく、残ったお金で何かしようってことで会社を整理しました。それから海外に行ったりして、自分は何をしたいのかなってゆっくり考えていましたね。それで1年くらい考えていたんですが、燃え尽きた感があって何をしたらいいのか分からなかったんです。
でもね、フッと気が付いたら無鉄砲だけは2日に1回食べに行っていたんです。それまでそんな発想は無かったんですけど、『自分がここまで好きな無鉄砲は?』って思いました。それで改めて無鉄砲に食べに行ってみた時、『あ~、やっぱりこれやろ?』って。『1回、自分の手でこのラーメンを作れたら。こんなに人を感動させれるラーメンを自分で作れたらって。』って思い、帰宅してすぐに社長宛に履歴書と手紙を書きました。」
- 無鉄砲からの返事は?
「すぐに電話かかってきて、『それやったら家に一回遊びにおいで』って呼んで頂きました。それが約9年前、ちょうど40歳になった頃でしたね。無心がちょうどできた頃。僕が無鉄砲に入ったのが6月頃で、無心ができたのがその年の8月でしたね。」
- どの店でスタートしたんですか?
「豚の骨(奈良県大和郡山市)だったんです。女将さんは『大阪に住んでるから、無鉄砲 大阪店で』って言ってくださったのですが、赤迫大将は『アカン!アキちゃん(高田店主)は豚の骨からや!』って。大阪からの通勤が大変でしたね。電車で通っていましたし、奈良に着いても最寄りの駅から豚の骨まで徒歩で片道40分でしたしね(苦笑)。」
- ラーメン屋で働き始めて、どうでしたか?
「びっくりするくらいキツかったです。『これ、絶対に続かんわ』って思っていましたから。でもそれを(赤迫)大将も察してくれていたんでしょうね。豚の骨の営業が22時頃に終わってから、駅まで走っていかないと最終電車に間に合わないんです。走ってたら、大将が後ろから車で来てくれて『乗れ、乗れ!』って。えこひいきになるのでみんなには内緒だったんですがね。車の中で、『アキちゃん、お客さんに嘘をついたらあかんで。』『何かあったらいつでも相談しーや。』とかいろんな話をさせて頂きましたね。」
- 当時、独立希望はあったんですか?
「全く無かったですね。当時は無鉄砲のラーメンを作りたいという気持ちだけが強かったように思います。でも赤迫大将は『アキちゃん、それはアカンで。先の夢を持っていないと続かないで!』っていつもおっしゃってくれていました。」
- 今回、無鉄砲を離れて独立しようって決めた理由は?
「ある時、赤迫大将と飯を食べてる時に『アキちゃんはどうしたいんだ?』って聞かれたことがあるんです。その時に『僕は自分の店をやりたいんです。』と言いました。『僕ももう若くないので、自分が現役でできるのもあと10年くらい。やっぱり自分の店をやってみたいんです。』って自分の気持ちを素直に伝えました。すると大将が『そこまで思ってるんやったらええよ』って言ってくださいました。」
- 尼崎を選んだ理由は?
「大阪も神戸も視野に入る場所っていうところと、自宅から車で15分くらいだし、尼崎がいいなって思いました。大将に『尼崎はどうですか?』って聞いたら、『やれや』って言って下さいました。僕は天王寺生まれの天王寺育ち、下町育ちなので尼崎のこの場所がしっくりきたんです。」
- メニューは?
「とんこつラーメンと、魚介系の出汁とブレンドした”さかなとんこつラーメン”の2種類でスタートしようと考えています。Wスープとは少しニュアンスが違うのですが、とんこつスープの濃厚さとうま味をキープできる方法で、カツオやサバ節とブレンドしていこうと考えてます。」
【KRK動画】高田店主より来店予定のお客様へ
<店舗情報>
■ぶたのほし
住所:兵庫県尼崎市長洲西通1-16-7
2018年1月20日オープン
(取材・文・写真 KRK 平成30年1月)