2013年、東大阪市に"麺屋 一"というラーメン屋があった。当時、ラーメンファン間でとても評判が良かったのだが、間借りしていた居酒屋が閉店することになり、その店もたった3ヶ月で閉店することになる。あれから3年の月日が経ち、一軒のラーメン屋が2016年7月、東大阪市にオープンした。屋号は"極汁美麺 umami"。驚かされたのは、店主はあの"麺屋 一"の店主だということ。
オープン当初はなかなか安定せず苦労されていたようだが、最近のスープは正に"神がかってる"。その実力が評価され、当サイトの"大阪新人王2016"で見事、総合GPに選ばれた。トロフィーを渡すために店へ行くので、この機会に"空白の3年間"などいろいろ聞いてみようと思う。"極汁美麺umami"やじ店主にKRK直撃インタビュー!
- 出身は?
「大阪です。昔からラーメンは好きで、18年間くらいラーメン食べ歩きをしていました。関西と東京中心でしたね。」
- ラーメン屋をしたいって思ったのはいつから?
「好きなものを仕事にしようって思い、ラーメン屋をしたいって思うようになりました。そして高校の時から自作でラーメンを作っていました。その頃にもう味作りはかなりできていましたね。」
- 修行は?
「老舗で働きたかったんです。長く愛されてる理由を知りたかったので。それで最初に"たんたん亭(東京)"で1年ほど働かせてもらいました。好きな味だったので、東京に行くのも躊躇しなかったです。それから"めじろ"ですね。此方に入ったのも『人を惹きつけるお店とはどういうものか?』を知りたかったんです。2年間ほど働いた後、めじろが閉店することになってしまって、それで大阪へ帰ることになりました。」
- 大阪に戻って?
「まだ資金がなかったので、ラーメン屋もできなかったです。ある時、知り合いからの紹介で『晩の居酒屋だけでは苦しい。昼、折半で入ってくれへんか?』って話がありました。それで『やります!』って。正月に話がきて、2月にオープンでしたね(笑)。」
- 屋号は?
「居酒屋さんの名前が"一"だったんです。それで『そのままでいくわ~』って感じで、"麺屋 一"にしました。」
- 当時、目指した味?
「僕、カドヤ食堂さんが好きだったんです。ラーメン作るのが久しぶりだったので試作を重ねて、オープン日間際にやっと味が決まったって感じでしたね。しかし、3ヶ月営業した後に居酒屋が潰れてしまって。ラーメン屋をもっと続けたかったんですが、不完全燃焼という感じでしたね。」
- それから何をしていたんですか?
「ラーメン店開業資金作りのため、現場仕事に行きました。僕、ダクト工いったんですよ。これやってたら店舗とかは多いので、自分で内装ができるわって思って。」
極汁美麺 umami(2016年7月27日オープン)
- 約3年後、この地で再出発することに?
「この場所は元々は有名なイタリアンだったんです。僕も常連で通ってたんですが、その方が難波に移転するってことで「移転するから(この場所で)やるか?」って聞かれました。それで次の日に会社を辞めました。」
- 屋号の由来?
「umamiは日本人が発見した旨みってのを押し出していこうって思ったんです。無化調だけど出汁感が濃い味。分かりやすい味。umami(旨味)は世界共通の言葉なので、あえてローマ字にしました。極汁はちょっと調子に乗ってしまって(笑)。最初はumamiだけだったんですよ。ちょうど他店で"・・美麺"とか見つけて、『あれいいな~』って思ったんです。」
(女将さん)「自分でハードル上げてしまって。その時は私も『どうしよう』って不安に思っていましたから(笑)。」
- umamiのラーメンは?
「店借りて、屋号決めてもなかなか味が決まらず、オープン3週間前くらいに凄く悩みましたね。(麺屋 一で)前やった時は、鶏ガラ醤油が大阪ではあまり多く無かったけど、今はもう増えてきたので『それなら魚介抜いて、鶏ガラだけ、鶏と水だけの一本でいこう』って決めました。」
- オープンして?
「この場所でいけるなって思ってました。スタートから順調でした。でも途中で鶏の味が抜けてしまって、いきなり常連さんがパタって来なくなって売り上げも半分くらいになって。その時は鶏を疑わず、自分のウデを疑ってしまって。でも一回、鶏を変えてみたら、味も元に戻りました。それからは一か所から鶏を取らずに、いろんな所から仕入れるようにして安定感を出すようにしています。」
- 研究?
「何食べても『これどうやってラーメンに取り入れれるかな?』って考えていますね。いろんな料理を食べて研究しています。」
- 限定メニューは?
「まだ分からないですが、限定は常においておきたいです。四季の限定。あとは油そばとか煮干しですね。常連さん限定の裏メニューなんですが、今してる"スワロウテール"という限定があります。燕三条と尾道を足した感じで、燕(スワロウ)と尾っぽ(テール)でスワロウテールです(笑)。燕三条くらいの極太平麺で、背脂はチャッチャじゃなくて、尾道の感じで。麺が切り歯1つしかないので、包丁で手切りでやってるので数量が作れないんです。注文入ってから、背脂を冷蔵庫からとって切って炒めて。で、油カス入れて。油カスと煮干しってメッチャ合うんです。今は常連さんにしか出せないけど、これをどうにか量産体制に持っていきたいと思っています。」
- 今後?
「まずは安定営業ですね。杯数は安定していますが、MAXで65くらいで終わりなんですよ。それを増やすのなら鶏スープで増やすのはしんどいんで、煮干しか油そばでって思っています。」
- 拘り?
「屋号の通り、他の店よりumamiは強く、出汁感が強い味にしたいです。醤油も塩も全部したいです。とにかく旨みを強くって拘って作っています。」
大阪新人王2016 総合GP
<店舗情報>
■極汁美麺 umami
住所:大阪府東大阪市菱屋西3-1-1
Twitter:https://twitter.com/gokujyubimen
(取材・文・写真 KRK 平成29年1月)